<高校サッカー:京都橘3-2那覇西>◇3日◇3回戦◇フクアリ

 連続得点王を狙う京都橘のFW小屋松知哉(3年)が、今大会初ゴールを決めた。小学校時代の亡き恩師にささげる得点で、那覇西(沖縄)を下して8強進出を決めた。前回大会は準優勝に終わり、目指すは初の日本一と連続得点王獲得。Jリーグ名古屋入りするU-18(18歳以下)日本代表のストライカーが、明日5日の準々決勝で今季インターハイ王者で5度の優勝を誇る市船橋(千葉)も撃破する。

 胸の熱い思いを込めた。京都橘のFW小屋松が1-0で迎えた前半32分、左でこぼれ球を拾うと、ドリブルから右足でミドルシュート。ゴール右上へと弧を描いてネットを揺らすと、両手を天に突き出した後、膝まずき、両手を合わせて祈りをささげた。

 「得点に絡めてよかった。ゴールはイメージ通りだった。昨日はシュートを打てていなかったので意識していました」。前夜、小6時代に担任だった女性教諭が闘病生活の末、他界したことを知った。「勉強面だけでなく、自分がどうするべきか、厳しく教えてもらった。お通夜に行けず、僕はサッカーでしか恩返しができないから…」。昨年の京都府大会でも手紙で「自分の力を出せるようにしっかり頑張ってほしい」と激励されていた。

 前半30分の先制点も、小屋松が相手DFからボールを奪い、ドリブルからMF中山にアシストのパスを出していた。2日の藤枝東との初戦は納得のプレーができなかったが、わずか1日で修正した。終盤には那覇西に1点差まで追い上げられたが、最後は冷静に逃げ切った。

 視察に訪れた名古屋の巻スカウトは「やる時はやる勝負強さを持っている。数字的な速さは(同じ名古屋の)永井と同じだが、知哉のほうが一瞬でトップスピードに乗れる。速さはプロでも十分通用するので、あとは駆け引きを覚えてほしい」と期待を寄せた。

 準々決勝では市船橋と対戦する。「夏の王者だし、やってみたかった。国立をかけた試合で対戦できるのは大きな意味がある。王者を倒せば優勝にも近づけると思うし、市立船橋を倒したら歴史に残ると思う」。今大会こそ優勝を-。前回5ゴールで得点王に輝いた小屋松だが、京都橘は準優勝に終わった。その悔しさを胸に、再び強豪に立ち向かう。【福岡吉央】