【ドーハ(カタール)=11日】日本の「不敗神話」を持つ男が、勝ち点3を引き寄せる。アジア杯でドロー発進した日本(FIFAランク29位)は、明日13日(日本時間14日午前1時15分)にシリア(同107位)と対戦する。チームはこの日、ドーハ市内で調整。初戦ヨルダン戦で途中出場したFW岡崎慎司(24=清水)は代表初ゴールの09年1月から2年間、得点した12戦を全勝している福男。母校滝川二が全国高校選手権で初優勝した刺激も受け、先発出場もあるシリア戦で「福ゴール」を狙う。

 日の丸の「福男」が、日本にアジア杯初勝利を届ける。夕暮れのアルアハリ競技場。肌寒いほどの風にユニホームをなびかせながら、岡崎は充実した表情で走っていた。これまで代表で得点した試合は全勝。勝ち点3が欲しいシリア戦は、この「不敗神話」を持つ背番号9にゴールを託す。

 岡崎

 相手の守備、ゴールをこじ開けるような動きをしたい。その結果、ゴールを奪えれば最高ですけどね。まずはチームの勝利に貢献したい。

 09年1月イエメン戦。岡崎の代表初得点となる先制点で始まり、日本はアジア杯予選を突破した。ゴールラッシュだったその年は、9戦15発すべてで白星。昨年は3得点ながら、10月にアルゼンチン戦では値千金のゴールをマークした。得点した試合は引き分けすらなく、現在12戦全勝中。「岡崎が決めれば勝つ」の神話は2年間、続いている。

 刺激ももらった。母校滝川二が高校選手権で初優勝した。後輩には「心を1つに」と書いたボールを贈っただけに「本当に刺激になります。ぼくらがやれなかったことを成し遂げたわけですから」と声を弾ませる。今でも同部のモットー「ひるまず

 おごらず

 はつらつと」を信条とし、初心を忘れない。

 ヨルダン戦では後半13分、MF松井に代わって出場した。左MFに入り、MF香川が左からトップ下、MF本田圭が右MFへ動いた。すると、ゴール前を7人で固める相手にも好機が増えた。シリア戦では先発する可能性もある。

 岡崎

 (シリアは)完全に引いてくると思うし、ヨルダン戦のような形になると思う。引かれて点を取れない、という言い訳はできない。引かれてもこじ開ければいい。そんな動きをしたい。

 強豪サウジアラビアに勝ったシリアの堅い守りをこじ開ける。香川だけじゃない。節目に必ずゴールを決めてきた「もう1人のシンジ」が、代名詞のダイビングヘッドで勝ち点3を奪いにいく。【近間康隆】