<アジア大会・サッカー:日本4-0パレスチナ>◇男子決勝トーナメント◇25日◇韓国・華城総合運動場

 1次リーグD組2位通過の日本(U-21代表)が2大会連続のベスト8進出を決めた。決勝トーナメント1回戦でC組1位のパレスチナに快勝。前半17分にアンカーの遠藤航(21=湘南)が先制し、27分にFW鈴木武蔵(20=新潟)が追加点。前回大会得点王のFW永井に並ぶ今大会5ゴール目を挙げ、釜本の6点(66年)に王手をかけた。28日の準々決勝は開催国の韓国と対戦する。

 手倉森ジャパンが危なげなく8強に駒を進めた。立役者は、やはりエース鈴木だ。1-0の前半27分、右CKのこぼれ球をキッカー原川が拾って浮き球を放り込む。そこに、腹がDFの頭より上に来るほどのジャンプで反応すると、力強く首を振ってゴール左に押し込んだ。お手上げの相手GKを尻目に、天に弓を引いた。おなじみの「ボルトポーズ」で喜びを表現した。

 前半17分には先制点をアシストした。柔らかいタッチでワンツーパスを遠藤に返し、V弾をお膳立て。50メートル5秒9の快足が注目されがちだが、185センチの高さと柔軟性も兼ね備える。ただ、ヘッドは苦手だった。「頭で取れたことが自分の中では大きい。ずっと練習してたので」。所属する新潟で今季から居残り練習を始めた。アギーレジャパンに飛び級で選出されたDF松原らにクロスを上げてもらい「毎日最低20本は(松原)健クンたちに付き合ってもらって」と足以外にも磨きをかけた。中学の時からダンクシュートができた跳躍力を、生かせつつある。

 今大会は1次リーグのクウェート戦とネパール戦で2発ずつ。通算5得点で、10年広州大会の得点王に輝いたFW永井(7試合)にわずか4試合で並んだ。開幕前は「永井さんが得点王だったんですよね」と、しっかり情報を頭に入れて韓国入り。「並ぶだけじゃなく追い抜く」ことが目標だった。大会が始まると、血液検査で鉄分不足が判明。サプリで補い、短い試合間隔でも疲労が取れるようになった。心身ともに得点を狙える良好な状態だった。

 2点目も狙ったが、準々決勝に備えて後半28分に交代。66年バンコク大会で釜本が記録した日本人最多6得点はお預けとなった。「次こそ超えてやろうという気持ちがある。今日はあと2点は取れたので悔しい。韓国戦では少ないチャンスをものにしたい」。伝統の一戦でレジェンドに並ぶ。【木下淳】