日本代表FW久保裕也(23=ヘント)が、アジア最終予選3戦連発でW杯に王手をかける。右FWでの先発が濃厚な明日13日のイラク戦は、勝てばロシア行きが大きく近づく一戦。最終予選では3月の代表初得点から2試合連続ゴール中で、同3試合に伸ばせば史上2人目となる新エースは、年代別代表で宿敵だったイラクから勝利につながる一撃を奪い取る。チームは11日、テヘラン近郊で練習を行い、右下腿痛のMF山口蛍が9日の現地入り後初めて屋外で別メニュー調整した。

 ジリジリと照りつける日差しを浴びながら、久保は黙々と練習に取り組んだ。敵となる暑さにも少しは慣れた。「昨日よりマシです」とたくましかった。気温40度に迫ろうとする酷暑、標高1300メートル、湿度10%。息が上がり、喉が渇くテヘラン。それでも表情を崩さない。ただ淡々と右FWで先発予定のイラク戦に向けて心身の適応に努めた。

 3月の最終予選UAE戦で国際Aマッチ初得点をマークし、続くタイ戦で2戦連発。あの本田から先発の座を奪った。続くイラク戦で代表初ゴールからの最終予選3戦連弾を決めれば、97年呂比須ワグナー(現新潟監督)に次いで史上2人目。その3試合も、呂比須は1勝2分けだったが久保は2連勝中。3戦全勝なら、新エースの呼び名にふさわしい貢献となるが「2試合決めただけ。1試合1試合が大事になる」と冷静だった。

 相手にも不足はない。イラクはU-19(19歳以下)日本代表時代からの宿敵。久保がエースだった12年のU-19アジア選手権準々決勝で対戦し、無得点に封じられて1-2で敗れた。一方、今回マッチアップする可能性が高い左サイドバックのA・アリには決勝点を許し、翌年のU-20W杯出場を断たれた因縁がある。しかも所属はウディネーゼ。久保があこがれるセリエAにイラク史上初めて移籍した選手だけに、倒しがいがある。

 16年のリオ五輪アジア最終予選では準決勝で対戦。今度は久保が先制点を決めて2-1で勝ち、五輪切符を獲得した。しかし、本大会にはクラブ事情で出場できず。U-20W杯と五輪を逃した久保にとっては、目指す初の世界大会がW杯。イラクをたたき、王手をかける気概にあふれている。

 7日シリア戦は前半45分間でシュート1本に終わり「孤立してしまった」と反省。一方で「合宿中にもっと良くなる」と話した通り、イランで修正を重ねている。結果がほしい最終予選。3戦連発で日本をロシアに近づける。【木下淳】