日本代表は0-0で戦い終え、突入したPK戦に3-5で敗れて過去最高に並ぶ8強入りを逃した。不発に終わったエースFW久保建英(16=東京ユース)は、飛び級で参戦した5月のU-20W杯韓国大会との2つの国際経験を糧にさらなるステップアップを誓った。この世代は、20年東京五輪にも飛び級で出場できる可能性を持つ。これから夢の舞台へのサバイバルレースが始まる。

 歓喜のイングランドを横目に、久保はピッチに座り込んだ。ベンチに戻ると、最後まで立ち上がらなかった。仲間がロッカールームへ戻る中で、1人もう1度サイドラインへ向かい、粗い芝を踏みしめた。「全然やれた。勝てるくらいだった。だから余計に悔しい」。なかなかピッチに背中を向けられなかった。

 前半は耐えしのぎ、後半20分すぎから攻勢を強めた。24分、久保がペナルティーエリア手前まで持ち込んで左足シュートを放ったが、相手GKに防がれた。後半だけで7本のCKを得るなど押し込んだが、1点が遠かった。U-20W杯を含め、1年で2つの世界大会を経験した久保は「無駄じゃなかったと思えるようにしたい。いつか違う場所で(世界を)見返すことができたら」と力を込めた。

 2年半をともにしたこの世代の仲間とは20年東京五輪を目指すライバルになる。日本協会の関係者によれば、今後のアンダー世代の選考は平均的な選手より、突出した武器を持つ、一芸に秀でた選手を選考基準にする考えがある。「技術でいえば久保のような選手」と16歳への期待も高い。東京五輪に向かう森保ジャパンが“一芸ジャパン”となる可能性を秘める。「サッカーは11人でやるもの。だけど自分は個でも打開できる選手になりたい」と誓う久保も、選出の可能性は十分ある。

 東京五輪の前年にこの世代が臨むU-20W杯の開催地にはインドが立候補を表明している。2年後に大きく成長した姿を見せるため「まず所属の東京でベストを尽くしたい」と足元を見つめる。生存競争に勝ち、世界の強豪にリベンジするための戦いは、すでに始まっている。【岡崎悠利】