日本人で初めて日本代表と五輪代表(現U-21代表)を率いる森保一兼任監督(50)が3日、A代表としては初の練習を札幌市内で行った。

初の訓示は1分54秒と端的にまとめ「チームのために走って戦える選手」を招集の基準に設定。自身の現役時代と同様、献身的な姿勢を求めた。その上で9~11月は新戦力の発掘に充てる方針を表明し、戦術も代名詞の3バックからの可変システムを考えていると明かした。堂安ら4選手は今日4日の練習から合流する。

前夜にジャカルタから札幌入りした森保兼任監督は、いつもより髪が伸びて初合宿を迎えた。6000キロ超の移動疲れを感じさせない笑顔。台風接近がまだ先の札幌は小雨だったが、練習に合わせたようにやんだ中、律義な性格通り予定1分前の午後5時29分に選手を呼び集め、初訓示した。

森保兼任監督 チームのために仲間のために、走って戦ってくれる選手が今回集まってくれたと思う。日本人の良さ、個の良さを組織の中で出し、スペシャルな特長も発揮してほしい。

初招集6人を含む19人への所信表明は1分54秒。端的にまとめると「さあ行こう」と手をたたき、円陣を解いた。その後はジョギング最後尾を走り、回復メニューは遠めから見守った。初日は44分間で終了。引き揚げる伊藤、浅野、守田の順に話しかけ、最後にコーチ陣とボール回しをしている最中に、協会広報に呼ばれて取材エリアに登場した。

そこでは、いきなり謝った。先日のメンバー発表で「コア(核)の選手ではない」と若手中心の編成を説明したことに「私の言葉足らず。ここからコアに残ってほしい、という意味でした。すみません」と訂正。その上で「(W杯に出た)海外組を呼ぶのは10、11月かなと考えている。9~11月は多くの選手を呼んで特徴を見たい」と発掘に力を注ぐ方針を明らかにした。

戦術も柔軟にいく。A代表は03年から原則4バックで戦ってきたが、森保監督は広島時代から3バックが代名詞。「長くやってきた自分の形はベースとして持っておきたい」としつつ「試合中に変える」と可変システムの導入を示唆した。ただ「戦術より原点。仲間のために走って戦う」と繰り返した。青山が「戦う部分に最もこだわる監督らしい」と受け止めれば、浅野も「コーチだったロシアでは控えめだったけど、広島時代のポイチさんが戻ってきた」と歓迎。森保監督の「兼任」を支えるのは選手の「献身」だ。【木下淳】