【アブダビ9日】日本代表MF堂安律(20=フローニンゲン)がアジア杯最年少ゴールを挙げた。1点リードの後半26分、反転から左足のシュートでゴール。20歳6カ月24日で、小野伸二が持つ21歳17日(00年)の記録を抜いた。堂安にとって代表初の国際大会だったが、堂々と勝利に貢献。歴史を塗り替えても動じない20歳が、アジアの舞台で輝きを放った。

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確信のあった一発だった。1点リードの後半26分、MF南野からのパスを受けるとDF3人を翻弄(ほんろう)させて反転。ペナルティーエリア左から左足一閃(いっせん)でゴール右へ突き刺した。GKは1歩も動けず、国際Aマッチ6試合で2点目。アジア杯最年少のメモリアルゴールが決まった。

「受けた瞬間、シュートと決めていた。自分ではパンチ力のあるシュートを持っていると思っていて、GKの股抜きをイメージしていた。ああいう形でも決まって良かった」

船出は厳しかった。堂安にとって代表で初の国際大会。いきなり前半の1失点目に絡んでしまったが「ハーフタイムに謝るつもりはなかった」と20歳ながらも堂々とした姿勢を貫いた。大舞台でも動じない精神面の強さは持ち味。時折「ビッグマウス」と言われることもあるが、実際はかなり思考を巡らして発言する。

小学生時代に兵庫・西宮SSで指導した早野陽コーチ(34)は「人一倍考えが深い。口にすることで自分自身に重圧をかける」。この日も仲間に謝らないことで、自分で取り返さないといけない状況をつくり出した。

取るべくして取ったゴール。国際大会で形にしたことで、自信にもなった。攻めあぐねた前半もはねのけて勝ち取った勝利に「いい経験という言葉は使いたくないタイプだけど、素晴らしい経験になった」とうなずいた。

17年夏にオランダへ移籍して2季目。目標は「欧州CL出場」を掲げてステップアップを目指す中、今季はリーグ4得点している。欧州に渡ってからはワンタッチゴールにこだわるなど、とにかく点を欲している。この日顕著に出たのは後半42分、MF柴崎のロングパスに猛ダッシュで抜け出した。ゴールにはならなかったが「あれ、実は足つっていた。でも点決めるためやったら走れるで」。得点のためなら試合終盤でも運動量は絶対に落ちない。

もちろん満足はしていない。最年少ゴールも「意識はしていなかった」。見つめる先は2大会ぶりの優勝だけ。「実力はこんなもんじゃないと示したい」。20歳の覚悟は増すばかりだ。【小杉舞】