【バンコク(タイ)8日=杉山理紗】FW上田綺世(21=鹿島)が、291日ぶりの代表ゴールで日本を優勝へ導く。東京五輪予選を兼ねたU-23アジア選手権で、日本は9日にサウジアラビアとの初戦に臨む。エースFW上田は、昨年3月24日のU-23選手権、東ティモール戦以来、A代表も含め日本代表では直近10戦で得点がない。年代の代表として初ゴールを決めたタイの地で、結果を出し、エースの座を守る。

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東京五輪世代発足の地、タイに上田が帰ってきた。17年12月にタイで行われた国際大会から、チームが重ねてきた試合数は37。エースとしてほぼ毎回招集されている上田は25試合に出場し、15得点と着実に結果を残してきた。だが、直近の10試合ではゴールから遠ざかっている。

昨年はA代表と世代別代表を行き来した1年だったが、3月24日のU-23東ティモール戦を最後に、“日本代表”としては得点なし。その間10試合、日数にして291日と、FWとしては長らくゴールという形での結果は残せていない。タイ入り後、5日の練習試合では1点を奪ったが「最後の1割のクオリティーが低かった」と、再三のチャンスをモノにできなかったことを悔やんだ。

裏に抜ける動きや打点の高いヘディングが持ち味だが、プレーの幅を広げてポストプレーなどの黒子的役割に徹することも増えた。得点が全てではないと承知しつつも、自身の役割は理解する。「チームを勝たせるための得点がFWとしての役目。チームのためにゴールを取る」と自らに言い聞かすように話した。

FW大迫勇也の所属するブレーメンが東京五輪への選手派遣を容認したとの報道もある。五輪本番のFW枠争いも激化必至。だが上田は冷静だ。「初戦に勝つことが優勝のために大事。何が何でも勝つためにやる」。東京五輪世代が発足した17年12月に代表初ゴールを含め2得点を挙げた相性の良いタイでの試合。勝利というチームの目標達成のためにも、291日ぶりのゴールを奪ってみせる。

◆上田綺世(うえだ・あやせ)1998年(平10)8月28日、水戸市生まれ。中学時代は鹿島アントラーズノルテに所属。鹿島学園を経て法大に進学、2年時の18年に全日本大学サッカー選手権優勝に貢献した。19年7月には同大サッカー部を退部、入団予定を前倒しして鹿島入りし、公式戦17試合4得点。世代別代表には17年のU-20代表で初招集されて以来、東京五輪世代に名を連ねている。19年5月に南米選手権のメンバーとしてA代表に初招集。182センチ、76キロ。

◆U-23アジア選手権 14年から2年おきに開催される23歳以下のアジアの大会。今回で4回目。五輪開催年は同アジア予選を兼ねる。日本はリオ五輪世代で臨んだ16年大会で優勝している。開催国と予選を勝ち抜いた計16カ国が出場。今大会は上位3チームに東京五輪への出場権が与えられる。なお日本は既に開催国として東京五輪への出場が決まっており、日本が3位以内に入った場合は4位のチームが東京五輪出場権を得る。