禁断の夢の対決が、ついに実現する。

サッカー日本代表が、3日午後7時30分から札幌ドームで、東京五輪世代のU-24日本代表と対戦する。

新型コロナウイルス防疫対策上の問題で中止となったジャマイカとの国際親善試合の代わりに、急きょ開催が決まった。

ジャマイカ戦と同時刻、同会場、同じTBS系の中継で実施される。

試合は無観客で行われ、ウェブ上の「投げ銭」システムでの募金を医療従事者らの活動に寄付する。日本サッカー協会は、チャリティーマッチと位置づけている。

U-24代表側からみた、この試合の意義を担当記者が読み解く。

 ◇   ◇   ◇

東京五輪世代のU-24日本代表が、来月に迫った五輪本大会を前に、兄貴分であるA代表を相手に力試しをする機会を得た。急きょ決まった試合だが、U-24日本代表から見ると、メリットが数多くある。

<1>実戦機会の増加

6月に行う予定だった試合数が2から3に増えた。これがもっとも大きなメリットだ。チームは現段階から、いち早くOA枠のDF吉田麻也、DF酒井宏樹、MF遠藤航を合流させている。金メダル獲得のカギとなる3人と東京五輪世代の選手が連係を高めるためには、試合がなにより大切となる。遠藤は「試合が増えるのは大きなこと」と話す。

もともと予定されていた2試合はU-24ガーナ代表、そしてジャマイカ代表とだった。コロナ禍とあって、6月は五輪に出場するチームとの対戦はない。より強度の高い相手とみられるA代表との対戦で、収穫も期待できる。遠藤は「A代表とやれるのは、すばらしい強化試合になると思っている」と歓迎した。

<2>スケジュール

U-24ガーナ代表とは5日に福岡での試合が決まっている。急きょ決まった「兄弟対決」から中1日という強行軍だ。試合を行い、翌日に飛行機で移動し、到着翌日に試合となる。

東京五輪では、目標である優勝のためには中2日で計6試合を戦わなければならない。また暑さの中、消耗との戦いにもなる。練習時にはコーチから「特に海外組は意識して水分を」と声がかかる場面もあった。

今回は招集人数が26人と本大会の18人より多く、メンバー変更も計8人可能となっている。条件は大きく異なるものの、より間隔が短いスケジュールで試合をこなすことで、本大会の過密日程を、一定程度、肌で感じることにつながる。

<3>将来

五輪世代にとっては、自身の現在地を知るための絶好の機会だ。ピッチで対峙(たいじ)することでしか分からないものもつかめる。特に国内でプレーしている選手にとっては、現時点で、海外組が多いA代表とは、どれほどの差があるのかを知る貴重な場となる。

また、森保一監督(52)が両代表を兼任していることで、五輪世代ながらA代表を経験している選手も9人いるが、その中でA代表の主力に定着しているのはDF冨安健洋だけ。MF堂安律、MF久保建英らはこの試合のパフォーマンス次第で、9月に控えるW杯アジア最終予選以降のA代表で、ポジション序列をひっくり返すきっかけを手にすることができるかもしれない。

まずは目の前の東京五輪を大きな目標としつつ、サッカーにおいてはその先にあるW杯や海外での成功といったキャリアアップを目指しているはず。それを見据えた上でも、すでに生存競争の激しい海外でしのぎを削っている選手が多いA代表との90分間は、何にも変えがたい時間になる。

【U-24日本代表担当=岡崎悠利】(おわり)

 

【図解】日本A代表-日本U24 兄弟対決見どころ―>

 

【禁断の夢対決1】ユニホームの色は?ベンチは? 試合のポイントまとめ―>

【禁断の夢対決2】過去の日本代表対決など注目の一戦まとめ―>

--【禁断の夢対決3】実戦機会の増加だけじゃないU24側からみた試合の意義―>--https://www.nikkansports.com/soccer/japan/news/202106030000525.html-