日本で絶対的スターの地位を築いたセルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督(56)が10日、日本代表を丸裸にした。11日の日本との国際親善試合を前に、会場のノエビアスタジアム神戸での公式会見と練習に参加。名古屋グランパスの選手、監督として計14年間過ごした同監督は、日本の先発をズバリ予想。その上で最大級に警戒し、将来的に日本に監督として復帰する可能性も示唆した。

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久々の日本にピクシーは超ご機嫌だった。約20分に及ぶ会見の冒頭で、ストイコビッチ監督は「日本は大事な国。皆さんは私を愛し、私も愛している」とあいさつ。最後は「明日はベンチからゴールを狙っているので期待して。主審にはレッドカードを出さないように言っておいてください」と冗談で笑わせた。

名古屋の選手で8年、監督で6年間日本で過ごした。日本戦について問われると驚くほどの情報を入手していた。

「全体を注意しないといけない。室屋、植田、谷口、長友…それが4バックですね。橋本が真ん中にいて常に守田がそばにいて。伊東や鎌田、南野もいますね。浅野…そういう選手が出てくるでしょう。スピードも技術もあり、ドリブルも得意、特に右サイド(の伊東)。鎌田もいい選手。南野が左なのか中央の前線なのか。攻撃的な選手はみんなよく走りますね」

2大会連続3度目のワールドカップ(W杯)出場を狙うセルビアは、欧州予選A組で現在2勝1分けでポルトガルに次ぐ2位につける。9月に再開される予選へ、3バックを基本に4バックとの併用に取り組む。4日に1・5軍メンバーで来日後、兵庫県内でジャマイカとの親善試合を1-1で引き分けた。

Jリーグを含めて日本での監督就任の可能性を聞かれると、笑顔で「残念ながらセルビア協会との契約がある。何よりW杯カタール大会へ行くことが目標。それを達成すれば、いつの日か日本に戻りたい」と本音ものぞかせた。

日本の選手の可能性については「遺伝子か民族性か分からないが、確かに欧州とは特にフィジカルの違いがある。しかし、日本はハンディを補ってあまりあるものを持っている。それを乗り越えて、大きなチームに勝つのは不可能ではない」と断言。コロナ禍で「ホテルや施設以外に出かけられないよ」と、不満を口にした表情さえ笑顔だった。【横田和幸】