金メダル獲得を目指す東京オリンピック(五輪)男子日本代表が5日、静岡県内で事前合宿をスタートさせた。

A代表と兼任している森保一監督(52)のもと約1時間半、シュート練習などに取り組んだ。本番も指揮を執る同監督がこの世代を本格的に指導するのは20年1月のU-23アジア選手権(タイ)以来。災害やコロナ禍の中で、できる限りの活動を続けてきた。集大成となる東京五輪。指揮官は、勇気を与える試合を見せることを、あらためて誓った。

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節目の始動日。森保監督が先頭に立った。これまでA代表と活動時期が重なっていたことで、広島時代から信頼する横内コーチに五輪世代の指揮を任せてきたが、ようやく戻ってきた。オンラインで取材対応。「いよいよ始まるという気持ち。いい状態で臨めるように、意見をぶつけ合いながら、いいものを作りたい」と意気込んだ。

合宿地の静岡では熱海市で豪雨による土石流が発生。死者も含め、大きな被害が出た。森保監督は同県掛川市の生まれ。事前合宿地が当初予定されていた淡路島(兵庫)から変更になった巡り合わせもあり、縁のある静岡で五輪に向けた総仕上げに着手。被害者を思い「犠牲になられた方々のご冥福をお祈りしたい」と、神妙な面持ちで語った。

18年9月、北海道でのA代表の初めての活動中に北海道地震が発生。チリとの国際親善試合は中止された。それから約3年。6月にA代表とU-24代表が札幌で強化試合を行った際には「手厚くサポートしてもらったことが心に残っている」と君が代斉唱で涙した。コロナ禍での難しいかじ取りに加え、自然災害にも心を痛め、周囲の支えを感じながらここまできた。

ずっと「日々大変な思いをしている人に、元気や勇気を届けられたらうれしい」と繰り返してきた。東京五輪は依然として開催に賛否があるが、開幕が迫る。「目標にしてきた金メダルに向かって、思い切りチャレンジしたい」。出場する立場として、最善を尽くすことは変わらない。使命感も胸に、日の丸を背負った五輪の戦いへの総仕上げに入る。【岡崎悠利】