なでしこジャパン(女子日本代表、FIFAランク13位)が、アジア3連覇をかけた戦いに挑む。21日、23年W杯予選を兼ねた女子アジア杯(インド)の1次リーグ初戦で、同ミャンマー代表(同47位)と対戦する。FW岩渕真奈(28=アーセナル)は、新型コロナ陽性のため欠場が決まっているが、エース不在でもアジア女王たる戦いぶりを見せつける。

    ◇    ◇    ◇

アジア3連覇に向けて、不安要素ばかり聞こえてくる。11月のオランダ遠征では、180分無得点。帰国後はオミクロン株の流行を受けた政府方針によって、予定になかった14日間の隔離生活を強いられた。これにより、12月に予定していた国内合宿は中止に。インドで合流予定だったエースFW岩渕は、新型コロナ陽性で欠場を余儀なくされた。それでも、アジア女王としての気概は変わらない。DF熊谷は「3連覇を目指すのはもちろん、アジアを引っ張っていく気持ちもある。1つ1つ積み上げていくことに“全集中”をしていきたい」と宣言した。

10月に就任した池田監督は、「奪う」をテーマにチームづくりを進めてきた。相手からボールを「奪う」、ゴールを「奪う」、勝利を「奪う」。縦に速い攻撃の意識と戦う姿勢を植え付け、オランダ遠征でもその一端は見せた。10月、11月と合宿は2回しか行えなかったが、オランダ遠征後の隔離期間には、オンラインミーティングや選手とスタッフとの1対1の面談を設けるなど、ピッチの外で補ってきた。

アジア杯には、なでしこの活動としては初めて、日本から専属シェフも同行している。MF長谷川が「前回のアジア杯(ヨルダン)では、食事で苦労した部分がある。その心配がないのは心強い」と話すなど、3連覇へあらゆるサポート体制が整っている。

金メダルを目指した20年夏の東京五輪では、ベスト8で敗退した。主将としてチームを引っ張った熊谷は「どうやっても過去は変えられない。ここから強くなれるように、世界と戦えるように、最大限の準備と自分にできる全てをこのチームにささげたい」と力強く話した。短期間で積み上げてきたものを発揮して、W杯の切符とアジアの頂上を取りに行く。【杉山理紗】

◆女子アジア杯 近年は4年に一度の開催で、日本は2連覇中。今大会は12カ国が参加しており、日本はミャンマー、ベトナム、韓国と同じC組。韓国やA組中国、B組オーストラリアが、3連覇を狙う日本のライバルとなりそうだ。23年女子W杯予選を兼ねており、開催国オーストラリアを除いた上位5カ国に、本大会出場権が与えられる。