【シドニー20日=岡崎悠利】勝てば7大会連続のW杯出場が決まるオーストラリア戦(24日、アウェー)で、日本代表DF長友佑都(35=東京)がベテランの力を見せる。

決戦の地に入り、取材対応。日本を出発する19日に、FW大迫勇也、DF酒井宏樹という主力2人がけがで不参加となった。苦しいチーム状況の中、本職の左サイドバック(SB)に加え、酒井の定位置の右もこなす覚悟を示した。自身4度目のW杯出場へ、敵地でも当然勝利にこだわり、一気に決める。

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4大会連続で、W杯出場決定の瞬間をピッチで迎える-。そんな大仕事をDF長友がやってのける覚悟を示した。「子どものころからW杯を夢に抱いてきて、今では、出たい思いが人生で一番強い。愛するW杯。4回目、出たい」と言葉に力を込めた。

チームはFW大迫、DF酒井が相次ぐ負傷で今回の活動、大事な2試合は不参加となる緊急事態。酒井不在で右SBの本職はDF山根だけ。長友は今季、東京で右SBで起用されており、19日のリーグ京都戦で今季初の先発フル出場。「右も左も求められることは変わらない。求められれば、チームに貢献するだけ」と言った。代表では左SBに入ることが大前提だが、必要なら右も任せろといわんばかり。やはりこの男は頼もしい。

シドニーに降り立ち、わき上がる思いもあった。前回ここに来たのは15年アジア杯。UAEとの準々決勝でPK戦の末に敗れた。長友は延長戦で足を痛め、交代枠がなかったためフル出場したが、満足なプレーを最後までできなかった。「あの悔しさを晴らすのはこの場所、この舞台でしかない」。今も鮮明に残っているという苦い記憶を、ここで書き換える。

勝てばW杯、負ければ自力出場がなくなるという大一番。長く代表で共闘してきた大迫と酒井の不在は「残念」だと素直に言った。だが、前回、1月末からの活動ではDF吉田、冨安のセンターバックコンビをけがで欠いたが首位のサウジアラビアをたたき、2戦2勝と結果を出した。これまでも、何度も何度も苦境を乗り越えてきた。「この試合に勝ってW杯を決めたい。その気持ちだけ。引き分けはまったく考えない」。イタリア語で「愛」を意味するアモーレ長友。あふれる情熱の男が、「愛する」と表現するW杯への切符を、日本へ持ち帰る。

【岡崎悠利】

◆W杯出場決定試合と長友 過去3度W杯に出場している長友は3度とも決定の瞬間もピッチにいた貴重な“証言者”だ。1-0で勝ち、岡田ジャパンの10年南アフリカ大会行きを決めた09年6月6日ウズベキスタン戦(タシケント)。1-1で引き分け、ザックジャパンの14年ブラジル大会行きを決めた13年6月4日オーストラリア戦(埼玉)。2-0で完勝し、ハリルジャパンとして18年ロシア大会行き(本大会は西野朗監督)を決めた17年8月31日オーストラリア戦(埼玉)。すべてにフル出場し、歓喜の瞬間をピッチで迎えている。