サッカー日本代表がFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会で起こした歓喜を、23年は女子日本代表(なでしこジャパン)が受け継ぐ。

今年7月に、女子W杯オーストラリア・ニュージーランド大会が開催される。なでしこジャパンを率いる池田太監督(52)が、日刊スポーツなどの取材に応じ「奪う」をコンセプトに、アグレッシブなサッカーで世界一奪還を誓った。

◇ ◇ ◇

22年はW杯カタール大会で日本がドイツ、スペインの強豪国を破りベスト16に進出。森保ジャパンの熱に池田監督も刺激を受けないはずはない。「戦いに対する準備はすごいものがあったのだろうなと思います。チームをつくる上での一体感。1つ1つの細部にわたる準備の大切さを教えてもらいました」。千葉の夢フィールドは、池田監督はもちろん、A代表の森保監督も仕事を行う場所。「こういう環境なので、森保監督にW杯の話を聞いてみたい」と目を輝かせた。

昨年のなでしこは、アジアの頂点には及ばなかったが、最低限のW杯の出場権は獲得した。チームのコンセプト「奪う」を継続し、7月の女子W杯に挑む。東京五輪のデータでは、出場国の中でボールを奪うアクションの回数は「中の下」だった。シュートの位置もペナルティーエリアの外が多かった。

「もっとペナルティーエリア内に侵入していかないといけない。なでしこなら、もっとアクションを起こせる。ゴールを奪うことは勝つために必要。アグレッシブさを強調するためのコンセプト」とアクションの重要性を説いた。

なでしこが世界一に輝いたのは12年前。そこから世界一からは遠ざかり、東京五輪は8強だった。昨年11月の親善試合ではイングランドに完敗。世界の壁の現実を突きつけられた。

それでも「自分たちから攻撃やボールを奪うところで仕掛けアクションを起こしたときに強みが出ると感じ取れた」と、積み上げに手応えも感じている。

W杯は普段、サッカーに興味がない人も注目する大会だ。昨年のW杯後も森保一監督や各選手がメディアに出演。今もドーハの歓喜は継続中だ。池田監督は「いろんなニュースで男子が取り上げられて、W杯で優勝したいという夢を持つ人も絶対に増えたと思う。男子に限らず女子でも、スポーツの力を発信できる」と、サッカー熱継続へのチャンスと捉えている。

日本のFIFAランクは11位。1次リーグは、スペイン(同8位)、コスタリカ(同37位)、ザンビア(80位)と同組。「目の前の相手に勝利していくこと。その結果、頂点を目指すことが目標にはなりますが、まずは1つ1つ、目の前の相手に対して戦っていくことを考えている。そこに向けて準備していきたい」。最善の準備で強豪国を倒し、再び世界一を「奪い」にいく。【岩田千代巳】

◆池田太(いけだ・ふとし)1970年(昭45)10月4日生まれ、東京都出身。武南高-青山学院大を経て93年に浦和入団。4シーズンで53試合に出場し、96年限りで引退。97年から指導者として浦和のトップチームやアカデミーを担当し、11年にS級ライセンスを取得。12年からは福岡でコーチとなり、一時は監督代行も務めた。17年に年代別女子日本代表の監督に就任すると、翌18年にはU-20女子W杯初優勝。21年10月になでしこジャパンの監督に就任した。