昨年のワールドカップ(W杯)後初の日本代表活動を森保ジャパンは、1分け1敗の未勝利で終えた。そんな中、プレミアリーグで躍動するMF三笘薫(25=ブライトン)がW杯同様に、日本の最大の武器であることを得点などで証明した。日刊スポーツの担当記者が日本代表について考える「Nikkan eye」では、三笘を輝かせる左サイドバック(SB)として、A代表デビューを果たしたDFバングーナガンデ佳史扶(21=東京)に着目する。

勝利なく新たに船出した森保ジャパンにあっても、三笘は別格だった。24日のウルグアイ戦ではドリブルで1人でチャンスを作り、28日のコロンビア戦では、ストライカーのような先制のヘディング弾。MF鎌田の「この4年間の日本代表で一番の武器になる」との言葉が、その存在感を物語る。ドリブラーの三笘は所属のブライトンで、サイドだけでなくゴール前に入ってフィニッシャー(点を決める存在)に成長した。

進化の陰には、ブライトンで三笘の後方に立つエクアドル代表DFエストゥピニャンの存在がある。幾度となくサイドを駆け上がり、自らゴールも奪う。三笘が「チームの恩恵を受けている。仲間に助けられている」と話すように、この超攻撃的SBを生かしつつ左サイドを崩し、中央にも入り込む。スペイン1部ビリャレアル時代には、MF久保とチームメートだったエストゥピニャンが持ち味を発揮すればするほど、三笘も輝く相乗効果が生まれている。

今回の日本代表で同じような可能性を見せたのが、コロンビア戦でデビューしたバングーナガンデだった。三笘の位置を見ながら中に入ってパスのつなぎ役になると、追い越して攻撃参加しようとする場面もあった。DF伊藤との間で、ウルグアイ戦ではややちぐはぐだった縦の関係も改善が見られた。

バングーナガンデは攻撃力が最大の持ち味。コロンビア戦でも積極性は見せたが、本来、もっともっと攻撃的な選手。プレースピードや戦い方に慣れ、迷いがなくなれば、特長をもっと出せるようになるはずだ。ブライトンが示した三笘の生かし方-。日本代表に足りないのは“相棒”となる左SB。21歳にかかる期待は大きい。左サイドの脅威が増せば、中央や右にもスペースが生まれMF伊東、久保らもより輝く。

一方、バングーナガンデが今後も継続して選ばれ続けるためには、守備面の改善は急務とみる。1対1では後手に回るシーンもあり、森保監督は「まだまだ強度は上げてもらわなければならない」と注文した。バングーナガンデ自身も初のA代表の練習を通じ「プレースピード、強度、一瞬の速さ。いつもの間合いで(奪いに)いったら、何でもされてしまう。足りないところを痛感した」と語っている。所属クラブには、全てを知る長友もいる。まだ、左SBの競争に名乗りを挙げたばかり。だが、エース三笘を輝かせる力をバングーナガンデが持っていることは間違いない。21歳の可能性は、そのまま日本の可能性になる。

【日本代表担当=岡崎悠利】