パリ五輪を目指すU-22日本代表が、同アルゼンチン代表に5-2で快勝した。国内お披露目試合で、10番を背負うMF鈴木唯人(22=ブレンビー)が古巣の本拠地で2得点の活躍。エースFW細谷真大(22=柏)ら複数の主力がA代表に招集されて不在の中、昨年のカタールW杯優勝メンバーもそろえた相手に5ゴールを奪った。A代表で中心を担う同世代MF久保建英(22=レアル・ソシエダード)も加わる可能性があり、伸びしろも大きい。五輪本番のメダル獲得にも期待が高まる一戦となった。

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パリ五輪で悲願のメダル獲得だ。古巣・清水の本拠地で2得点と躍動したMF鈴木唯は「勝てたことが1番ですし、ホッとしますね。自信にはなります」。前半18分にMF佐藤のゴールで先制するも、4分後に失点。後半5分には、W杯優勝メンバーMFアルマダの直接FKで逆転され、相手ペースに。悪い流れを断ち切ったのが背番号10の鈴木唯。同21分に左足ミドル、同30分にこぼれ球を押し込んで再逆転。ホームの後押しを受けてMF松村、FW福田も続いた。

チームを率いる大岩監督は「A代表経由パリ行き」を掲げる。今回、FW細谷がA代表に追加招集され、GK鈴木彩艶も10月シリーズから継続してメンバーに選ばれている。何より、この世代のトップランナーMF久保がいる。大岩監督は久保とコミュニケーションをとっており、本人がパリ五輪出場に強い意欲を示していることを確認済み。さらに、大岩監督自身が「ウイーク」と明かしたセンターバックのポジションを中心に、オーバーエージ枠の活用を示唆しており、DF冨安健洋やDF板倉滉らが候補に名前が挙がりそうだ。南米の強豪に勝利した自信は、さらなる成長につながる可能性を秘める。

チームは発展途上だ。大岩監督も2失点後のプレーや、ビルドアップ、ゴール前での積極性については課題としてあげた。それでも逆転し、点差を広げる強さがあった。昨年3月に発足後、国内で初めて開催された試合で魅力的な試合を披露。鈴木唯は「少しは期待感をもってもらえるようになってればいいな」といいつつ「まだまだ自分たちが1人1人個人で成長していかないといけない」と気を引き締めた。高い競争の中で、個々がレベルアップを続ければ、1968年メキシコ五輪以来56年ぶりのメダル獲得が現実味を帯びてくる。【佐藤成】

 

<日本の五輪世代の金星>

◆ブラジル 19年10月14日の国際親善試合で対戦し、アウェーで3-2と逆転勝ちした。当時のブラジルは現A代表でレアル・マドリードに所属するFWロドリゴらがプレー。その王国を相手にMF田中碧が2得点、DF中山雄太がミドルシュートを決めた。日本の五輪世代がブラジルに勝ったのは「マイアミの奇跡」として語り継がれる96年アトランタ五輪1次リーグ(1-0)以来だった。

◆アルゼンチン 21年3月29日、北九州で行われた国際親善試合で3-0と快勝した。東京五輪の出場が決まっていた金メダル候補を相手にMF久保建英が2アシスト。2点ともにCKからDF板倉滉がヘディングで決めた。そのままの勢いで21年夏に開催された東京五輪で4強入りした。

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