【ドーハ13日=佐藤成】「新旧A代表監督対決」が実現する。サッカー日本代表(FIFAランキング17位)が14日、アジア杯カタール大会の1次リーグ初戦で、元監督フィリップ・トルシエ氏(68)率いるベトナム代表(同94位)と対戦する。当地で前日会見に臨んだ森保一監督(55)は「先輩」に敬意を示しつつ、容赦なく勝ちにいくと宣言。3大会ぶり5度目のアジア制覇へ、まずは日本を熟知する難敵をたたく。

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森保監督に慢心はない。FIFAランク最上位でアジア杯を迎える日本。歴代最長の国際Aマッチ9連勝中で、個、組織、状態、全てにおいて力量差あるベトナムに対しても、敵将を念頭に手綱を緩めない。「(トルシエ監督は)日本のことを知っていて、分析もしているはず。簡単な戦いにはならない」と警戒した。

実際、ベトナムには前回大会の準々決勝で苦戦させられた。辛くも1-0で勝利。当時は引いて守るカウンター型だったが、昨年2月にトルシエ政権が誕生すると、パスワークを重視するスタイルにモデルチェンジしたという。68歳になったフランス人は不敵に笑った。「歴史上、たくさんのサプライズがあった。日本とは10回やって9回は負けるかもしれないが、1回は勝てる可能性がある。それが明日かもしれない」と。

対策に抜かりない森保監督も白星発進を約束した。「難しい戦いを覚悟した上で、どのような戦いでも最終的に勝利できるよう、アグレッシブさと我慢強さ、勝負強さを持って戦いたい」。アジア杯の厳しさは身をもって知っている。5年前は、格下との対戦が続きながら準々決勝まで全て1点差の勝利だった。「良い守備から良い攻撃へ」のコンセプト下、欧州列強相手にも主導権を握っている今でも、うまくいかない状況であれば、じれない強さが必要と共通認識している。

日本の監督で初となる2度目の大陸最強決定戦へ。約1カ月間で最大7試合を戦い抜くマネジメントを貫く。負傷中のMF三笘の初戦欠場を明言した上で「総合力で戦っていく。全員を戦力と考え、何が起こっても戦っていきたい。明日の試合もベストな布陣で」。

日本としては2度目の新旧A代表監督対決。12年9月のW杯ブラジル大会アジア最終予選で、イラクを率いたジーコ監督を1-0で退けて以来だ。次はトルシエ監督を返り討ちにする。00年のアジア杯レバノン大会で、日本を自国開催以外で初の大陸王者に導いた先輩。森保監督は「白い魔術師」をリスペクトしつつ「優勝という高みを目指しながら、チームの成長を感じながら1戦1戦を大切にして、高みに向かって前進していきたい」。13年ぶりの覇権奪回へ第1歩を刻む。