なでしこジャパン佐々木則夫監督(54)が、今月30日に行われるカナダ-米国戦(オタワ)を直接視察することが20日、分かった。なでしこジャパンは、カナダ(FIFAランク7位)とはロンドン五輪1次リーグ初戦で対戦する。また、順調に勝ち進めば米国(同1位)とは早ければ決勝トーナメント初戦となる準々決勝で対戦する。両チームの最新の仕上がり具合をチェックできるチャンス。米国相手に1-4と惨敗したばかりだが、巻き返すため、最大限の情報収集を続ける。

 佐々木監督の一番の目的はカナダ代表エースFWシンクレアの徹底分析だ。175センチで、体力だけでなく技術にも優れたストライカー。代表通算180試合134得点の29歳のベテランだ。

 18日の日本戦で2ゴールを決めた米国代表FWワンバックの179試合136得点と比較しても遜色なし。MF沢が受賞したFIFA女子年間最優秀選手賞にも、過去5回ノミネートされている。カナダ代表の「ビッグ・レッド」の愛称通り、米国以上の体格がそろう中で、決定力も経験もある“カナダのワンバック”だ。

 なでしこが対決するのは佐々木監督就任直後の08年3月キプロス杯以来。シンクレアに2得点を喫し0-3で完敗した。これまでカナダの情報入手は日本協会分析担当が撮影した映像に頼っていた。その中にはイメージ以上に成長した姿が詰まっていた。

 昨夏のW杯ドイツ大会、3月のキプロス杯での強豪フランスとの決勝、5月30日の親善試合中国戦など、シンクレアのプレーを何度も見返してきた。FKからニアで中国DFを吹き飛ばして左足ボレーを決めたプレーは圧巻。佐々木監督は「肩幅もかなりすごくなって力強さが増した。相手のストロングポイントは間違いない」と警戒を強める。

 カナダは米国以上にシンプルにFWに放り込んでくる。米国戦では、身体能力任せの相手に、なでしこはもろさを見せた。ここにきて佐々木監督もメダルへの重圧を感じ始めてきた。米国を含め、自分の目で確かめ、分析を選手に伝えるのが最善な道になるはずだ。