沖縄・石垣島合宿中のサッカーU-22(22歳以下)日本代表が29日、候補選手の生き残りをかけた紅白戦を実施した。リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねるU-23アジア選手権(来年1月12日開幕、カタール)の未発表メンバー2人を決める参考材料となる実戦で、控え組に入ったMF豊川雄太(21=鹿島)が1アシストと結果を残した。MF前田直輝(松本)FW荒野拓馬(札幌)も最後のアピールを行い、今日30日の運命のメンバー発表を待つ。

 望みをつなぐ放物線が描かれた。紅白戦の20分、右CK。控え組MF豊川が蹴ったボールが、FWオナイウの頭をとらえた。MF遠藤、DF植田らA代表経験者の壁を破るアシスト。鹿島でも任される正確なプレースキックで、残り2枠の決断材料を求める手倉森監督に猛アピールした。

 終盤には自陣からドリブルを仕掛けた。MF原川を右半身で押さえつけながら、力強く左サイドの敵陣深くまで運んでいく。指揮官も思わず「トヨーッ!」と声を上げた。相手DFの背後を突く動きも愚直に繰り返し、手倉森監督から「十分に体を張れることが分かった。相手のギャップに入り込んでいく動きも良かった」と認められた。

 ラストチャンスにかけてきた。故郷熊本で自主トレを重ね、東海大熊本校の練習にまじって状態を高めてきた。石垣島でも走り続け、迎えた最後の実戦。「CKは良い位置に上げられたし、ゴールへ向かう姿勢も見せられた。ただ得点を取りたかった」。“当確弾”こそ決められなかったが「あとは待つだけです」。

 ほかの候補も力を発揮した。浦和MF関根は天皇杯の柏戦で躍動し、右サイドを切り裂いた。テレビで確認した手倉森監督も「彼の持ち味が発揮できる状況だった」。紅白戦ではMF前田がドリブル、FW荒野が体を張る特長を示し、前田は「仕掛けなければ自分じゃないし、やることはやった」と完全燃焼した。

 残り2枠は今日30日、帰京後の会見で発表される。指揮官は「まだ迷うほど、みんな良い。コーチ陣の話も聞いて決断したい」。最終予選の鍵も握りそうな2人が、決定する。【木下淳】