愛のお説教でイエローカード! 仙台GK六反勇治(28)が、味方に対する「反スポーツ的行為」で警告を受けた。3-0で迎えた後半38分。ゲームの流れが止まったところでMF茂木に声をかけると、18歳の高卒ルーキーは右腕を払うような反応を見せた。これに対し、普段は温厚な六反が眉間にしわを寄せて詰め寄り、一悶着(ひともんちゃく)起きた。接触プレーで倒れたDF渡部を心配するイレブンの横で、仲間割れのような状況となり、佐藤隆主審はイエローカードを提示した。

 この日の仙台のテーマは「球際」だった。茂木は仙台で10年ぶりに高卒新人での開幕スタメンを勝ち取った期待の新人。3点リードの後半36分に投入されたが、六反には「球際にも強く行かないなど動きは良くなかった」と見えた。チーム内での約束事を徹底しようと「球際で戦わないと」と注意すると反抗の態度を取られ、珍しく顔をゆがめて茂木と顔を突き合わせた。

 前節10日の浦和戦から先発を外れる茂木について、六反は「高い技術があるのに出られないのはメンタルが原因だと思う」と分析していた。今月、初めて日本代表候補にも選出された守護神の“愛情の裏返し”から起きた珍事といえる。

 「モテ(茂木)は高い水準の選手でフル代表も五輪代表も狙える人材。もう一皮も二皮もむけていい選手になって欲しい。だからこそ叱咤(しった)してしまった。彼も思うところはあったはず」。実際、茂木はその直後から一変し、カウンター攻撃に積極的に加勢し、球際にも強さを見せた。もめ事は起きたものの完封で8戦ぶりの白星。六反は「変わるためにもらったイエロー。モテの成長のためと思えば、安いもんですよ」と笑った。【成田光季】