尚志(福島)はDF茂木星也主将(3年)が先制点を決め、完封勝ちを演出した。

 約5カ月ぶりにスタメンに名を連ねた茂木が、流れを呼んだ。前半13分。右CKを頭で押し込んだ。「今までケガで迷惑をかけてきた。監督が試合に使ってくれて、期待に応えられたのかな」。つらい思いを背負ってきた主将が、尚志を2回戦に導いた。

 昨夏の全国総体1回戦で、左膝を骨折して手術を受けた。12月に入ってからは右足首を捻挫した。だがU-18日本代表FW岩崎悠人(2年)を擁する京都橘のスピードのある攻撃を阻止するためには、180センチの高さとフィジカルの強さを持つ茂木は欠かせない。仲村浩二監督(43)は「賭けでした。スタミナも不安があった。でも本人が行かせろ、という顔をしていたので」と先発に抜てきした。

 本職のセンターバックでは、厳しいマークで岩崎にシュートを2本しか打たせなかった。「スペースをうまく消す。なるべく2対1で対応した」。ドリブルではスピードに乗せず、サイドへ追いやるなど2人のボランチとも意思統一した。仲村監督は「ディフェンスが粘り強かった」と完封を褒めた。

 12月11日の新潟明訓(北信越2位)とのプレミアリーグ参入戦1回戦は、前半20分までに3点を失った。後半から出場した茂木は終了後「何をしてるんだ」と、仲間を叱咤(しった)した。その試合で、後半一方的に攻めて2点しか奪えなかったことも反省。午前7時前に始まる朝練習にCKも採り入れ、この日のゴールにつなげた。「全国制覇するのが目標」。攻守に活躍した主将は、目を見開いて言った。【久野朗】

 ◆茂木星也(もぎ・せいや)1997年(平9)10月15日、茨城県潮来市生まれ。牛堀小1年の時、牛堀SSCでサッカーを始める。牛堀中では鹿島ジュニアユースに所属。好きな選手はスペイン代表DFセルヒオ・ラモス。180センチ、73キロ。利き足は右。