ミラノダービーにも負けない熱い戦いになるかもしれない。ACミラン本田圭佑(29)の母校・星稜(石川)とインテルミラノに所属するDF長友佑都(29)の母校・東福岡が今日9日、埼玉スタジアムで行われる全国高校サッカー選手権準決勝で激突する。前回王者と総体覇者の一戦でもあるとともに、まさに偉大なOBの“代理戦争”。意地と誇りを懸けた戦いになる。

 セットプレーでキッカーを担う星稜MF大橋滉平(3年)は、本田と同じく中学時代にG大阪ジュニアユースからユースに昇格できず、悔しい思いで星稜に進学した。8日、静岡県内での練習後「本田さんのためにも星稜が勝って、いいニュースが届けばいい」と意気込んだ。勝利しても世界トップレベルの舞台で戦う本田へのエールになるか分からない。「後輩が頑張ってるなら、『俺も頑張る』となってもらえれば」。本田のような堂々とした口ぶりで言った。

 河崎監督からも本田の高校時代の話を聞く。印象に残る言葉がある。「俺がいなくても圭佑は指揮官のようにチームを束ねていた。あいつはすべてやってくれる存在だった」。本田のように高卒でのプロ入りはかなわなかったが、大学経由でプロを志す。「そのぐらいの存在にならないといけない」。本田の献身的な動きは手本になっている。

 昨年4月、選手権優勝祝いに本田からサッカー部員に贈られた経営学や語学など5冊の本も全部読んだ。サッカーだけにしばられない考え方に感銘を受けた。

 本田がACミランで苦しむ一方、長友のインテルはセリエAで首位を走る。星稜も昨年3月、東福岡に2-7と大敗した。ここまで別れる明と暗。この大舞台で一矢報いる。【上田悠太】