試合開始のホイッスルが鳴るまでは、敵も味方もなく手を携える。被災地支援のために奔走するJ2熊本FW巻誠一郎(35)のもとに、千葉から支援物資が届いた。

 23日午後9時すぎ、千葉から1日半かけて、陸路で物資が到着。巻はさっそく熊本の選手と一緒に、24日早朝からの各避難所への配送に備え、10台ほどのトラックに分けて積み込んだ。

 支援物資は熊本出身の千葉GK藤嶋の呼び掛けがきっかけで、20、21日の2日間、千葉の公式ショップ前で集められた。選手、関係者、サポーターからの物資は、何と14トンに達した。

 巻は「届いた物資の量もすごいんですが、とても丁寧に仕分けてあったのが驚きました。段ボールに何が入っているのか、すごく分かりやすく明記してあります。気持ちが伝わってくるようで…。とてもありがたいです」としみじみと話した。千葉ではなでしこジャパンGK山根ら女子選手も加わり、発送前にきちんと物資の仕分けをしていた。

 必要な物資を、必要とする避難所に届けるには、中身を確認して仕分けをしなければならない。多くのスタッフが、1日の大半をこの作業に費やしている。しかし千葉からの物資は、ほとんどそのまま配送車両に積み込むことができた。

 千葉は巻にとっての古巣というだけではない。来月15日、熊本がJ2のリーグ戦に復帰する際、対戦相手となるのが千葉だ。いずれ戦わなければならないライバルだが、それまでは支援活動の大事な仲間だ。

 千葉の選手たちが集め、仕分けた物資を、熊本の選手が迅速に避難所に届ける。クラブの枠を超えた連係プレーで、サッカー界が被災地復興の一助になる。