J2名古屋グランパスの風間八宏監督(55)は、東京ヴェルディに逆転負けも「本当にチームは、うまくなっていると思います」と評価し、チームの進歩が速いことを強調した。またこの日、初ゴールを決めた、FW杉森考起(20)に期待を寄せた。主な一問一答は以下の通り。

 総括 非常に難しい感想ですね(苦笑い)。本当にチームは、うまくなった。前に進んでいると思います。ゲームを完全に支配しながら、どフリーを決められない。それから(守備も)人数は何も足りていなくはない状況でも1人1人、学習していなきゃいけないんですけど、マーク、あるいは戻る場所が分からない。そういう意味で、決定的なところを作られて負けたということ。でも、ただチームは前に進んでいると思うので、若い選手も多いので次に期待、ということでやっていきたいと思った試合でした。

 -GK楢崎正剛とFW玉田圭司は試合に間に合わなかったのか

 風間監督 タマとナラは、ずっと試合で続けてプレーしていたので…簡単に言うと、筋肉系のケガで帯同も出来なかったということです。

 -我慢して使ってきた、FW杉森が初ゴールを決めた。今日の出来は?

 風間監督 彼自身が今、チームの中でいいのは、チャンスまでいっているということ。すごくいいことですし、今まで出来なかったことが、着実に出来るようになっている。今日、1点取りましたし、まだまだ可能性がある選手ですから。他と比べると、自由になるプレーが1番、うまい選手。彼には、もっと大きくなってくれないと困る。若いから使っているわけじゃないんで、しっかりやってもらいたいと思います。

 -就任半年で出来つつあることは

 風間監督 彼らの個性…特に若い選手は、ボールが自分で運べる選手が多いですよね。今は、最終ラインに仕掛けることも、ドリブルだけではなくて出来るようになってきましたし、相手を速いワンタッチのパスで、少し足を止めることもだいぶ出来るようになってきた。まだ怖がる選手はいるんですけど、怖がらずに、みんなしっかりと正確に止める、蹴ることも出来るようになってきている。進歩は、それなりにいいと思います。若い選手は、刺すか刺されるかというところで、その厳しさを知ることで変わってくると思うので、その辺はトレーニングでも厳しくやっていこうと思います。

 -試合運びという観点で改善の余地、課題は?

 風間監督 要は、点が取れていれば問題なかっただけの話ですから、別に試合運びはそうでもないと思う。ただ、あれで点を入れられないなら、もっとチャンスを作りだすようにするしかない。シュート練習も狙う場所、タイミングから、みんな取り組んでいるところ。今日の1点は、1つの成果だし、そこがなければ、ゲームを自分たちが自由に運ぶことが出来ませんので、最後のところをやられない、ちゃんとやるトレーニングを、もっともっと増やしたい。

 -春先からの進歩が速い。前任のJ1川崎フロンターレで、チームを5年かけて築き上げたペースより、チーム作りの進度は速いのではないか? その秘訣(ひけつ)、注力しているところは

 風間監督 僕は比較は、あまり意味がないと思ってしていないですけど…ただ、単純に自分たちの進歩を見ると、かなり変わってきている、その速さは、速いと思います。ですけども、その速さが故に、自分たちがだいぶ出来ることが急に増えてきた分、まだまだそこに頭の連続が出来ない、要するに常々、ついていけていない選手がいる。今日、試合に出ていない選手にも、もっともっとうまくなってもらわないと90分間の戦いは出来ないと思います。常に、常に変化するものなので…そういう意味では、比較はしたことがないし、あまり意味はないと思いますけど、この選手たちが初めに出会った時のことから比べれば、自信を持ってサッカーが出来るようになったというのは速いと思います。

 -繰り返しが成長のカギか?

 風間監督 繰り返し…それから(選手が)知らないこともありますので出来るようにしなければいけないし、出来ていることは、ずっと出来るようにしなければいけない。その2つの作業は、技術のところは、ずっとやっていくしかない。まだ知らないことがある選手もたくさんいますし、そこはこれからだと思います。

 敗れはしたものの、攻撃時にはパスを回し、主導権を持って攻め、守る時も意図を持ってボールを奪いに行く姿勢で試合は支配できた。風間監督は笑みを浮かべ、チームの成長に手応えをにじませた。【村上幸将】