クラブ史上初の準決勝進出へ、総力戦だ。ベガルタ仙台は今日30日、ルヴァン杯準々決勝鹿島アントラーズ戦(第1戦)に挑む。26日の北海道コンサドーレ札幌戦(0-1)から中3日で迎えるホームでの初戦だが、渡辺晋監督(43)はリーグ戦と遜色ない先発メンバーで臨むと予想される。今季J1で2戦とも完敗した相手だけに、全員が必勝の気構えだ。ホーム&アウェー方式を熟知するDF増嶋竜也(32)の存在も心強い。

 真夏が戻った仙台で、渡辺監督は熱く宣言した。「我々のミッションを達成したい」。FWクリスランが左内転筋を痛め欠場するが、「札幌戦の翌日に『誰が出てもいいように準備しておいて』と(全員に)話した」と、目標の4強入りへ総力戦の構えを見せた。これまでルヴァン杯は、若手にチャンスを与えるため一部メンバーを代えて戦っていた。つまり、レギュラー陣に中3日で決戦を迎える覚悟を求めたということになる。

 MF三田啓貴(26)は準備万全だ。札幌戦は風邪の影響で、約1年1カ月ぶりに途中交代。試合後「しっかり治して次を迎えたい」と話した。28日の練習後は病院に直行し、体調を整えた。昨季のJ1王者にはリーグ2戦で得失点差マイナス5と全敗しており、「何回も負けてられない」と意気込む。

 MF中野嘉大(24)は、鹿島攻略に自信がある。霧の中の5日のリーグ戦(0-2)はシュート数がわずか1本だったが「前半は左サイドから得点できるチャンスはあったから、左サイドをポイントにしたい」。実際、自身の突破から三田の惜しいシュートが生まれた。また、相手のセンターバックのDF昌子源(24)と植田直通(22)が代表選出で不在。「鹿島の不安なところだし、隙ができるはず」とカットインから好機をつくる。

 ホーム&アウェー方式の戦いに、どう挑むのか? DF増嶋は、柏時代の13年に前身のナビスコ杯を制覇。3度ACLに出場し、異国でのアウェーも体験しており、「アウェーゴールが大事。ホームは守備から入ってゼロで抑えたい」と強調した。実例として12、13年のACL全北(韓国)戦では、ホームで勢いよく攻めてくる全北をかわし続けて、2戦ともに2点を挙げ完封勝利を飾っている。まずはしっかり守りきって、少ないチャンスをうかがっていく。【秋吉裕介】