川崎フロンターレは0-2から追いつく意地を見せたが、勝ち点3は奪えなかった。試合終了間際に4戦連発となる同点弾を決めたFW小林は、得点ランク2位タイに並ぶ今季19得点目にも「チームのタイトルが欲しい中、勝たせられなかった。何とか勝ち点3をとりたかった…」と厳しい表情を浮かべた。

 自然の試練を受けた。台風の影響で、あちこちに水たまりができ、ボールがまったく転がらない。試合開始時間を30分遅らせ、スタッフが懸命にローラーで水をかき出す作業をしたが、劣悪なピッチ状態は変わらなかった。DF車屋は「ウオーミングアップの段階で、つなぐのは無理だと思った」。鬼木監督も「自陣では横パス、バックパスを控えて前に出すように」と指示。「特技」を封印して戦わざるをえなかった。

 後半開始直後に2失点。絶望的な状況も、MF中村は「誰も自分たちで折れずに下を向いていなかった」。後半からボランチに下がり、前線のFW森本、知念へフィードを続けた。「もはや、ピッチのどこが良くてどこが悪いか分からなかった。相手にとって嫌な場所にピンポイントで出すことに徹し、足をフルスイングで振っていった」。経験豊富な司令塔のパスを起点に攻め、何とか勝ち点1を手にした。

 中村が「勝ち切らなくてはいけない試合だったが、まだまだ下を向く必要はない」と言えば、主将の小林も「優勝して、この勝ち点1があって良かったと言えるようにしたい」とキッパリ。最後まで悲願のタイトルに食らいついていく。【岩田千代巳】