清水エスパルスが、今節でのJ1残留決定を逃した。ホーム最終戦のアルビレックス新潟戦で2-3。2点を先制しながら、後半26分から3失点した。ホーム7連敗は、1996年(平8)以来のクラブワーストタイ記録。今季初めて15位に転落し、J2降格ライン16位甲府との勝ち点2差。だが、最終節のアウェー神戸戦(12月2日)に勝てば、残留が決定する。

 まさかの敗戦。アイスタに虚無感が漂った。選手たちは次々と倒れ、サポーターはピッチを見つめた。小林伸二監督(57)は「結果的にこうなるとは。信じられない」と振り返った。

 試合前、オレンジに染まったゴール裏に大きなエンブレムが掲げられ、最高の雰囲気になった。前半14分、DF松原后(21)の左クロスに、ファーサイドでMF金子翔太(22)が右足を合わせて先制した。同29分には、金子が出した浮き球のパスをFW北川航也(21)が生かした。胸トラップから冷静に左足でゴールに流し込んでの追加点。前節までクラブワースト5戦連続無失点のうさを晴らすべく、選手、サポーターが歓喜した。

 意思統一ができていた。前日25日、練習後に全選手でミーティングを行い、「前からプレスをかけて、スピーディーな攻撃をしよう」と確認した。北川は「自分たちから仕掛けて、相手を置き去りにできた。うまくいった」と言った。

 ハーフタイム。指揮官は「2-0は危険なスコア。相手(の攻撃)を受けずに、しっかり入れ」と送り出した。だが、前半からハイペースで動いたことで運動量が落ち、最終ラインも低くなった。同26分、右ひざを痛めたDF鎌田翔雅(28)の治療中に1失点。さらに5分間で2失点した。今季3度目の逆転負けで、DF犬飼智也(24)は「簡単に1点を与えてしまいもったいない。(失点後)落ち着ける力強さ、チームとしての力が必要です」と悔しがった。

 試合後のエンディングセレモニーでは、左伴繁雄社長(62)がブーイングと拍手を浴びながら「最後の1戦、悔しい思いを反骨心に変えて、最高の1戦にします」と宣言した。アウェーだが、勝てば甲府の結果に関係なく残留が決まる。クラブの未来を懸けて、大一番に臨む。【保坂恭子】

 ◆清水J1残留決定の条件 清水が神戸に勝利すれば、自力で残留が決定する。引き分け以下でも、16位甲府の引き分け以下で残留。一方、清水が引き分け以下で甲府が勝利した場合は、J2降格となる。