2位川崎フロンターレが悲願の初タイトルに踏みとどまった。勝たなければ首位鹿島アントラーズの優勝が決まる一戦で、アジア王者浦和レッズに1-0で競り勝った。前半14分にエースFW小林悠(30)の今季20点目で先制し、猛攻をしのぎ切った。今季アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝、ルヴァン杯決勝で敗れた埼玉スタジアムで、鹿島との勝ち点差を2に縮めた。12月2日の最終節で大宮に勝ち、鹿島が磐田に引き分けるか敗れると、逆転での初優勝となる。

 

 攻守で圧倒するフロンターレサッカーとは程遠かったが、泥臭く勝ち点3をもぎ取った。小林は「相手のフォーメーションに対応できず後手後手になった厳しい試合だった。でも勝てば何でもいいんで。今日は試合前からゴールを決めることしか考えてなかった」。前半14分、右サイドを突破したMF家長のクロスに飛び込み、右足で流し込んだ。この日は夫人の誕生日でゴールのプレゼントを約束していた。自己最多を更新するシーズン20点目が、初タイトルに望みをつなぐ決勝点となり「奥さんとの約束を守れて良かった。何とか最後につなげたいという意地で戦えた」とホッとした表情を浮かべた。

 埼玉では9月のACL準々決勝第2戦で浦和に大逆転負けし、11月のルヴァン杯決勝ではC大阪に敗れ、タイトルを逃していた。引き分け以下なら鹿島の優勝が決まる状況で迎えた同会場の浦和戦。司令塔のMF中村は「またここで逃すこともあったわけで…」と本音を漏らし「そうなったら、もはやどういうレベルなのかという場所になってしまう。結果的にこれをはねのけて先に進めたのは良かった」と話した。

 浦和の猛プレスに苦しみ思うようにボールを回せず、逆に相手にボールを持たれゴールを脅かされた。だが、最後まで体を張り守り切った。中村は「引き分けで終わりの特別な状況で1-0で勝ち切れたのは成長」と手応えを口にした。これで8月からリーグ戦では14試合負けなしとした。クラブが国内の3大タイトルで手にした「銀」は8つ。シルバーコレクター卒業の状況は整った。最終節のホーム大宮戦に勝ち、あとは天命を待つだけだ。【岩田千代巳】