Jリーグに所属する23歳以下の選手からベストイレブンが選ばれる「タグホイヤー ヤングガンズ・アワード」の授賞式が4日に都内で行われた。J1からJ3までに所属する519人の対象選手から選ばれた11人のうち、MF三好康児(20=川崎F)ら7人が出席した。同表彰は今年から始まった。

 三好はリーグ初優勝を果たした川崎Fから唯一の選出となった。他の出席者6人とともにおしゃれな私服姿で登場し「リーグ優勝できたことはすごくうれしい。最後で逆転できて、信じられない気持ちだった」とチームの悲願をふり返った。

 小学5年から川崎Fの下部組織に入って育った生え抜きの三好。先輩たちが何度もタイトルの目前まで迫っては逃すのを、スタンドから見たこともあった。中学2年に飛び級でユース年代でプレーするなど早くから才能を開花させ、15年にトップチーム入り。大きな期待を背負っての昇格だった。

 そこから自身も、今季のルヴァン杯を含めて2度の準優勝を経験。出場時間は限られ「シルバーコレクター」という屈辱的なイメージを覆すための力になるには時間がかかった。はたちを迎えた今季はシーズン序盤は出場機会が増えたが、5月のU-20W杯(韓国)に出場してからケガもあり、夏場は出番を減らした。

 苦しい時期に先輩の優しさに触れた。エースで主将のFW小林悠に食事に誘われ、励ましの言葉をもらったこと。試合でベンチから試合を見れば小林だけでなく「小さいころからの憧れの存在」だった37歳のMF中村憲剛が守備に奔走する姿があった。クラブハウスのロッカーは2人の間。必死に背中を追いかける先輩たちに挟まれ、力になれない自分が情けなかった。

 全体練習後に練習や持久力トレーニングをすることが増えた。「試合で出たければ、先輩以上のことをしないといけない」。メニューはトレーナーに依頼するだけでなく、自分で考えて課したこともあった。真夏の午後の日差しの下で心が折れかけたこともあったが、「サッカー人生を考えたら、今やらないと意味がない」と足を止めなかった。秋から少しずつ出番を勝ち取り、10月のルヴァン杯準決勝第2戦では2ゴールで決勝進出の立役者となった。

 大逆転優勝を決めた最終節はベンチ入りも、出番がなかった。「先輩にとってほしかったので。憲剛さんや悠さんが喜んでいるのを見てうれしかった」。育ててもらった後輩としての本音だ。そして続けた。「少し結果は出せたけど、納得はいかない。難しいけど、来年は目に見える結果を出したい」。将来の目標は中村や小林の背中を越えること。初タイトルを手にした川崎Fの未来を担う若き才能は、満足していない。【岡崎悠利】