湘南ベルマーレが、前半30分のMF石川俊輝(26)の先制弾を守りきり、浦和レッズに完封勝ちした。湘南が浦和にリーグ戦とナビスコ杯(現ルヴァン杯)で勝ったのは、ベルマーレ平塚時代の1997年(平9)7月19日のホーム戦以来、20年9カ月、19試合ぶり。

 浦和は今季、湘南から4年ぶりに復帰したMF山田直輝(27)と、17年に移籍した菊池大介(27)、16年に移籍したDF遠藤航(25)と、湘南・曹貴裁監督(49)の教え子3人が先発に名を連ね、ベンチには13、14年に湘南でプレーし今季、柏レイソルから完全移籍したFW武富孝介(27)が控えた。一方、湘南は今季、10シーズンにわたってプレーした浦和から完全移籍で加入したMF梅崎司(31)がベンチに控えた。曹監督自身、現役時代の94、95年と浦和でプレーしており、因縁の深い対戦となった。

 前半18分、中盤でボールをキープした浦和の山田が、右サイドのFW興梠慎三にスルーパスを通した。そのまま中央を前進すると、興梠からの折り返しに飛び込みシュートを放った。決定的なシュートだったが、GK秋元陽太に阻まれた。

 前半30分、湘南が先制した。DF山根視来が、ハーフウエーラインを過ぎたあたりから右前方にスルーパスを通すと、サンフレッチェ広島から完全移籍し、今季公式戦初先発のMFミキッチ(38)が右サイドで受けて鋭く折り返し、走り込んだMF石川俊輝(26)が右足で流し込んだ。2月24日のV・ファーレン長崎との開幕戦で決めた、プロ5年目でのJ1初ゴール以来10戦、2カ月ぶりとなる石川の今季2点目で湘南がリードした。一方、浦和は前半37分に暫定監督からヘッドコーチとなった“組長”大槻毅氏がベンチでにらみをきかせる顔が大型ビジョンにアップで映ったが、なかなか決定機にまで至らなかった。

 22日に就任した浦和のオズワルド・オリベイラ監督(67)は、後半開始の段階で山田に代えてMF長沢和輝、同13分には菊池に代えて今季、新加入のオーストラリア代表FWアンドリュー・ナバウト(25)、MF橋岡大樹に代えて日本代表DF宇賀神友弥と相次いで投入した。182センチの日本代表DF槙野智章、183センチのDFマウリシオに長身2選手も、攻撃時に機を見ては前線に上がった。後半17分、MF柏木陽介の左からの浮き球パスのこぼれ球をナバウトがシュート。同21分には、前線に上がった槙野の左クロスに宇賀神が飛び込むが、ゴールの枠を捉えることが出来ない。

 その後も浦和は、湘南を自陣にくぎ付けにする猛攻を見せた。後半35分に興梠がナバウトとのワンツーからシュートもGKに弾かれた。1分後にナバウトが右からはなったシュートもわずかに枠を外した。同38分にはFW武藤雄樹の左クロスを興梠がダイビングヘッドで合わせるも、GKにキャッチされた。

 湘南は後半42分、梅崎が同6分に途中出場したFW松田天馬に代わってピッチに入った。試合は、そのまま湘南が逃げ切った。一方、浦和はオリベイラ監督の初采配となった25日の柏戦に続く連敗となった。

 湘南は1997年(平9)7月19日のホーム戦以来、J1は1分け12敗、J2は4敗、ナビスコ杯は1敗と浦和に勝てていなかった。天皇杯では2003年(平15)12月14日、駒場スタジアムで行われた3回戦で2-1で勝っている。