J1が、5月19、20日開催の第15節から、ワールドカップ(W杯)ロシア大会による約2カ月の中断をへて18日に再開する。

 中断前は、サンフレッチェ広島が独走状態を維持した。中断前最後の試合となったセレッソ大阪戦は0-2で敗れたものの、2位FC東京が同日、サガン鳥栖に0-0で引き分けたため、勝ち点差は9ある。4位だった川崎フロンターレは同日、清水エスパルスにMF中村憲剛の2ゴールなどで3-0と快勝し、東京と勝ち点1差の3位に浮上。中村は、毎年7月の「川崎市制記念試合」でヒット曲「ヤングマン」を歌い続け、同16日に亡くなった歌手西城秀樹さんを悼み、サポーターに向かって「YMCA」のポーズを見せた。

 一方、下位を見ればJ2から昇格した名古屋グランパスが、13試合未勝利で勝ち点9の最下位と苦しんでいる。名古屋と勝ち点4差の17位鳥栖は、3戦負けなしと復調傾向にあるが、ガンバ大阪が16位、G大阪と勝ち点2差で横浜F・マリノスが13位、浦和レッズが14位と、93年のJリーグ開幕から戦い続けるオリジナル10の各クラブが低迷している。鹿島アントラーズも横浜、浦和と勝ち点1差の11位だ。

 広島は中断明け初戦で、G大阪とホームで対戦する。ここ2戦は1勝1分けと負けていないものの、ホームでは1分け3敗と4戦連続で勝ちがない。17年6月までG大阪でプレーし、10ゴールで得点ランクトップを走るFWパトリックに期待は高まる。「私ブラジル人ですが心は日本人です。まだ帰化諦めてません」とツイートするなど、日本の国籍取得と日本代表入りを熱望するパトリックは、W杯期間中も日本代表をユニホームを着て応援していただけに、中断明けに気力は充実しているに違いない。

 東京は9位の柏レイソルとアウェーで対戦するが、4連敗中とめっぽう苦手にしている。川崎Fはアウェーで北海道コンサドーレ札幌と対戦するが、5勝1分け、アウェーでも2勝1分けと完全に“お得意さま”にしている。4位C大阪はアウェーで清水と対戦するが、直近は1分け2敗、アウェーで2連敗と苦手にしている。上位陣の中では川崎Fだけが、過去のデータ上、分のいい相手と対戦する。数字通りの結果で、広島との差を詰めることが出来るか?

 W杯ブラジル大会が開催された14年は、J2からJ1に復帰したG大阪が、中断前に首位の浦和と勝ち点差14の降格圏16位に沈みながら、中断明けに史上最大の大逆転劇で9年ぶり2度目のJ1優勝を成し遂げ、ナビスコ杯(現ルヴァン杯)、天皇杯との3冠を達成した。当時と状況が似ている中、奇跡を経験しながら今季、低迷するG大阪が広島と戦うのも何かの因縁か…果たして、今回のW杯中断期間は、各チームにどのような影響、変化をもたらすだろうか?