試合後の北海道コンサドーレ札幌ミハイロ・ペトロビッチ監督(60)には、満足げな、穏やかな笑みがあった。「両チームともに、よく走り、よく戦った」。ともに運動量を軸とするV・ファーレン長崎との、敵地での一戦。先制しても追いつかれ、突き放しても、またつかまえられた。だが、最後まであきらめなかったのは、この春から厳しく育ててきた札幌の選手だった。

 2-2で引き分けが濃厚になった後半ロスタイム。MF駒井のシュートを相手GKがはじいてからのルーズボールを、ゴール前に走り込んだFW都倉が左足で決めた。足が止まる時間帯に、足を止めず走る選手の姿を「我々の方が、より勝利への強い気持ちで戦っていたから」とたたえ「我々の方が少し、試合をコントロールできていた」と胸を張った。

 06年に広島の監督に就任して以来、積み上げたJ1での白星は、この日で「173」。歴代2位タイとなった。広島での62、浦和での103、そして札幌での8。変わらないのは、人も、ボールも連動して動くサッカーだ。「私の哲学ではチームがしっかり機能すれば、それぞれの選手は素晴らしいプレーができる。突出した選手は必要ない」。J1昇格、J2降格を繰り返してきた札幌でも、その手腕を発揮。チームはこの日4位に再浮上した。