北海道コンサドーレ札幌は、FW都倉賢(32)のロスタイム弾でサガン鳥栖を2-1で下し、3試合ぶりの勝利を挙げた。

6日未明に発生した北海道胆振東部地震後は2試合連続0封負けだったが、後半13分にMF三好康児(21)が3戦ぶりにネットを揺らすと、同点の試合終了間際に、都倉が自ら獲得したPKを決めた。勝ち点を44に伸ばし、7試合を残してクラブのJ1過去最多を上回った。順位は4位に浮上した。

4分と表示されたロスタイムの終了が近づいていた。都倉が自ら獲得したPK。ボールをセットし、目を大きく見開く。ゆっくりと時間を使って深呼吸を繰り返した。「久々に緊張しました」。対峙(たいじ)するGK権田は前半26分にジェイのPKを止めていた。集中力を高め、左足を振り抜く。低い弾道のシュートは日本代表GKの手をすり抜け、ゴール左に吸い込まれた。今季5度目のロスタイム弾で、奪い返した勝ち点3。札幌ドームが歓喜に包まれた。「良かったです」。シンプルな言葉に安堵(あんど)感を漂わせた。

試合が近づくと居残りでPK練習を行うのがルーティン。本番さながらにGKと向き合い、笛が鳴ってから蹴る。決めるとしっかり喜びのポーズも披露する。前日28日はGK阿波加を相手に右へゴールを決めた。“残像”は頭にあったが、「キーパーの立ち方が(自分から見て)右に跳びそうだった。今日は駆け引きなしに笛が鳴った時から左」。直感を信じ、貫いた。

6日の被災後、リーグ戦2試合続けて得点を奪えなかった。「道民が苦しんでいるなかで僕らも勝てず。つらい思いをした方たちにポジティブな印象を与えられれば」。次のホーム戦は11月4日まで間隔が空く。後半44分に追いつかれても、闘志を失うことはなかった。

勝ち点44は、過去最高11位だった昨季の43を上回り、7試合を残してクラブ記録を更新。順位は4位に浮上した。累積警告で次節は出場停止となるが「ずっと3位を目指し続けられるのは素晴らしいこと。難しいけど、達成することでチームとしての格が上がる」と、3位以上に出場権が与えられるACL目指し、突き進む。【保坂果那】

▼札幌FW都倉のロスタイム弾は、4月11日湘南戦、7月18日川崎F戦、8月1日長崎戦、同15日G大阪戦に続き、今季リーグ戦5点目。そのうち3つが、同点の場面で挙げた決勝ゴールとなっている。この日のように途中出場も多いが、今季の12得点はすべて後半に記録したもの。