横浜F・マリノスがFW仲川輝人(26)のゴールなどで鹿島アントラーズと2-2で引き分け、2戦合計4-3で01年以来17年ぶりの決勝進出を果たした。仲川は直近の公式戦4戦4発と絶好調、先発定着のきっかけとなったルヴァン杯での優勝を誓う。湘南は柏をPK戦(2戦合計3-3)の末に退け、初のファイナリストに。神奈川ダービーとなった決勝は27日、埼玉スタジアムで行われる。

自信を持って、仲川はそこに走った。1点リードの前半34分、左サイドからMF天野のグラウンダーのクロスが入ると、素早くゴール前へ。「ダイレクトでくるのはわかっていた」。右足で押し込んだ。「監督の求めている一番のゴール。信じることが得点につながった」と笑顔をみせた。

ルヴァン杯には特別な思いがある。開幕当初はポステコグルー監督に戦力とみなされずベンチ外が続いた。練習ではミニゲームにすら入れず若手らとグラウンドの隅で調整する日々。それでも「腐らずにやることを心掛けた」とチャンスを待つと、4月18日の同杯1次リーグ東京戦で先発起用された。持ち味のドリブルから1アシストするなど、指揮官の目にとまった。

直後の21日の第9節湘南戦でリーグ戦に初出場を果たすと、そこからの21試合で欠場は2試合だけ。リーグ1位の得点数を誇るチームに欠かせない存在となった。「今振り返っても、あそこが始まり。ひとつのチャンスをものにしてここまでやってきた。そういう意味でもルヴァンでタイトルをとりたい」。

直近の公式戦は4戦4発と好調。小柄な体格のハンディを補うため、開幕前からマシンで体重よりも30キロ重い負荷をかけて全身を鍛える筋力トレーニングを続けた。「けがも減ったし、イメージ通りに体が動く」と鋭いドリブルにも磨きをかけ、この日も相手のイエローカードを2枚誘発した。

運命の決勝戦の日は10月27日。17年前の01年、横浜が最後に制した同大会決勝戦の日と同じだ。「そういうめぐり合わせも背中を押してくれれば。点を意識して決勝も戦いたい」。もう不安はない。どん底からはい上がった仲川が、横浜の中心で躍動している。【松尾幸之介】

◆仲川輝人(なかがわ・てるひと)1992年(平4)7月27日生まれ。神奈川県出身。川崎Fユース-専大を経て横浜入り。期限付き移籍で町田、福岡でもプレー。161センチ、57キロ。