アルビレックス新潟レディースはINAC神戸に1-2で敗れた。

0-2で迎えた後半25分からDFを3枚から2枚にして超攻撃布陣に。前線に上がったDF左山桃子(26)がヘディングシュートを決め、1点を返したものの勝利には届かなかった。新潟は皇后杯では過去4度(11、13、15、16年)決勝に進出も、いずれもINAC神戸に優勝を阻まれていた。リベンジを期したが、今回は4強入りを阻止された。

終盤に1点を、もぎ取った。1点差に詰め寄った。0-2の後半42分。MF阪口萌乃(26)の左クロスに、DF左山がニアに走り、跳んだ。頭を振ってボールを逆サイドに流す。ヘディングシュートはポストに当たり、ゴールに吸い込まれていった。「まだまだ、自分たちはやれる、ということをサポーターに、どんな形でも示したかった」。勝負を捨てない気持ちを1点に凝縮させた。

後半25分だった。3バックのディフェンダーとキーパーで「1人、前に出そう」とピッチで話し合った。主将のMF上尾野辺めぐみ(32)に許可を求め、その返答は「行っちゃえ、行っちゃえ」。左山が前線に上がり“総攻撃”を加え、得点に結びつけた。「2失点はDFとして悔しかった」という思いを少しだけ、晴らした。

今季限りで監督を退く山崎真監督(48)は「最後の最後に大きなプレゼントをもらった」と言った。DFを2枚にして左山が前線に上がるパワープレーは、ピッチ上の選手たちの判断だった。「選手たちが自分たちの発想で結果(1得点)を持ってきた。選手が意思を示した。試合が終わって、すぐに浮かんできたのは、選手が成長したということ」。負けはしたが、指揮官はうれしそうだった。

もっとも、選手たちは悔しさをストレートに表した。左山は「やり切った感はない」と言った。1アシストを決めた阪口も「もっとできた」と口元を引き締める。INAC神戸にまたも上位進出を阻まれた。選手たちの不完全燃焼の思いは、来季にぶつけるしかない。【涌井幹雄】