ゴール、ゴール、ゴール! 22大会ぶりに、同日に3人がハットトリックを決めるゴールラッシュとなった。大津(熊本)は、MF大竹悠聖(3年)がハットトリックを決め、桐光学園(神奈川)との強豪校対決を5-0で制した。選手がそれぞれの武器を磨く「一技(いちぎ)二万回」をチームのモットーに掲げ、08年大会以来10大会ぶりに初戦突破した。

MF大竹が納得の表情でうなずいた。「点をとることだけ考えて、どんどん仕掛けようと思った」。夏の全国高校総体準優勝校を相手に、公式戦では記憶にないというハットトリックを決め、自然と笑みがこぼれた。

前半5分に攻撃の核であるMF大崎が先制して口火を切ると、大竹が続いた。前半10分、後半13分、同19分と立て続けに加点。終了間際に途中出場の1年生FW宮原がだめ押しの1発をたたき込んだ。

チームのモットーがある。「一技二万回」。古閑監督は「できないことなんかない。なぜなら、できるまでやるからだ」と反復練習で鍛え上げてきた。OBの元日本代表DF植田(セルクス・ブリュージュ)ら、多くのプロを育てた実績がある。大竹も午前5時半の朝練から全体練習が終わって暗くなるまでシュート練習を繰り返してきた。「打てば枠に入る自信がある」とまで言い切った。

17年は熊本県大会決勝で東海大熊本星翔に0-1と敗れ、選手権出場を逃した。当時のスタメン11人のうち、8人がベンチ入りメンバーに残り、新チーム発足後、公式戦は県内負けなしだ。

守備面でも桐光学園・西川を封じきった。福島、吉村の両センターバックと守備的MFが監視を怠らず、危険な位置で持たれればすかさずシュートコースを消した。卒業後、湘南へ進む福島は、視察に訪れた湘南の曹貴裁監督が「持っていないものが少ない選手」と評する逸材。相手をねじ伏せるようなヘディングを見せた吉村や攻撃をけん引したMF水野は年代別代表経験者で、有望株がそろう。

古閑監督は「目いっぱいぶつかれる相手だったからこそ」と好敵手に敬意を表した。通算17回の出場で、最高成績はベスト8。悲願の初優勝へ力強く突き進む。【岡崎悠利】