「御礼弾」で1次キャンプを打ち上げた。J1仙台が元仙台監督の手倉森誠監督(51)率いるJ2長崎と練習試合を行い、1-0で勝利した。MF梁勇基(37)が1本目の14分、FKを右足で流し込んで先制Vゴール。昨年はキャンプ途中の負傷離脱で出遅れたが、恩師の前で元気な姿をアピールし、開幕スタメン奪取に向け順調なスタートを切った。

注目の師弟対決で自軍指揮官に勝利をもたらしたのは、仙台梁の右足だった。1本目14分、FW長沢駿(30)がペナルティーエリアぎりぎりで倒されFKを得ると、壁になった選手が跳んだ足もとを狙い、ゴールに流し込んだ。技ありシュートで今季「初ゴール」を奪った背番号10は、「距離が近かったので、壁の上も考えたが低いボールを蹴れば抜けるかなと。狙い通りです」と振り返った。

1本目5分には、理想的な形で「幻ゴール」も生まれた。右サイドからのクロスにワントップの192センチFW長沢が胸トラップで反応。落としたボールを2列目から飛び出して右足を振り抜いた。判定は惜しくもオフサイドだったが、今季の得点パターンとして期待される連動からゴールネットを揺らした。集まった約100人の観衆からどよめきが起こった。梁は「高い位置でチャンスがあればシュートまで絡みたい。2列目から出て行けば守備もやりにくいので、ああいう形をもっと出していきたい」。渡辺晋監督(45)も「狙いは共有できていた。思っていた以上にスムーズに、しっかりといい立ち位置を取れていたし、コンビネーションのイメージはできていた」と手応えを口にした。

試合前、13年まで仙台監督を務めた長崎手倉森監督に駆け寄り、あいさつを交わした。手倉森監督は「何となく梁に決められそうな気はした。今季の長崎の初失点だったが、いいご祝儀を与えられたかな(笑い)。虎の子の1点を決めたし、まだまだやれる。もう一暴れも二暴れもしてもらいたい」と愛弟子の活躍に目を細めた。

梁は昨年、糸満キャンプ途中で右ふくらはぎの肉離れを起こし開幕絶望となったが、今年は無事に1次キャンプを終えた。「テグ(手倉森)さんから『仙台を見ているからな』と言ってもらえたので、リーグ戦が始まったら頑張りたい。しっかり体をケアして開幕までいければ」。2人の恩師の前でしっかりアピールし、開幕へ弾みをつけた。【下田雄一】