1月の全国選手権で優勝した青森山田と、4強に躍進した尚志(福島)の両雄メンバーが、最強タッグを組む。

日本高校サッカー選抜が13日、埼玉県内で始動。青森山田はGK飯田雅浩(3年)ら7人、尚志もFW染野唯月(いつき、2年)ら2人が名を連ねた。大学生と練習試合を重ね、16日には富士ゼロックス・スーパー杯「NEXT GENERATION MATCH」(埼玉)で、U-18Jリーグ選抜と対戦する。青森山田MFバスケス・バイロン(3年)は今日14日に合流。MF檀崎竜孔(3年)はJ1札幌のチーム事情により、今合宿は不参加となった。

昨日の敵は今日の友。選手権準決勝でPKまでもつれた死闘を演じた青森山田と尚志のメンバーが、仲間に変わった。青森山田で主将を務めたGK飯田は「選手権で戦った相手だけれど、今回は最強の味方になる。普段は一緒にやることはできない仲間たちと、高体連の強さを示したい」。16日のU-18Jリーグ選抜戦での結束を誓った。

優勝した青森山田にとって、一番苦しめられたのがFW染野だった。飯田にとってもハットトリックを達成された悔しい思い出が今でも残る。今回のバスはお互いが隣に座り、親交を深める。練習中には、仲良くじゃれ合う場面も。飯田は「試合で対戦する時には、嫌なやつという存在だったけれど、味方になれば本当に心強い。これが選抜チームの良いところだと思う」。攻守の軸となる2人が、自然と両校選手の輪の中心で肩を組んだ。

U-17日本代表の染野も、1月下旬に静岡・御殿場で行われた選考合宿から相乗効果を感じていた。「ピッチ内外での姿勢や態度を、全国レベルの選手から盗んでいける良い機会。自分自身も1つレベルが上がったと感じられています」。課題の守備の向上を自覚する一方、「自分の良さでもあるボールを納めるところと、得点を取るところを見せたい」と、Jリーグのスカウト陣にもアピールするつもりだ。

チームを率いる朝岡隆蔵監督(42=市船橋)は「自分の目で集めた高校サッカー最高レベル。走る、戦う、切り替え、守備の高体連の良さだけでなく、質と内容を問いたい」。大学、プロでも活躍できる人材育成も主眼に置く。合宿初日は時折プレーを止めながら、戦術的な共通理解を徹底した。

国士舘大に進学予定の飯田は「自分たち世代のチームや自分自身の実力が、どんな立ち位置にいるのか試したい」。全国から集まった未来の日本代表候補と、仲間として真剣勝負。再び、選手権決勝舞台の埼玉スタジアムで躍動する。【鎌田直秀】