北海道コンサドーレ札幌GKク・ソンユン(24)が「超攻撃的守護神」としてチームを今季初勝利へと導く。次節3月2日浦和レッズ戦(埼玉スタジアム)に向けて、2月28日は熊本市内で調整した。湘南ベルマーレとの開幕戦は0-2の黒星発進。積極的な攻撃参加を今季テーマに掲げているクは、浦和の強力攻撃陣を封じ、攻めでは起点にもなる。

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浦和戦を2日後に控えた28日、熊本市内で行われたミニゲームで、積極的に前に出るクの姿があった。攻めの起点を少しでも前へ。ボールを失えば後ろには誰もいない。怖さを克服するには、経験値を積み上げるしかない。「(位置を)より高めに取ろうとやっている」。腹をくくって取り組んでいる。

DF陣が意図をもって攻撃を組み立てる形は、昨季から取り組み、既に札幌の代名詞となった。今季はもう1枚下、GKにも攻撃に参加するプレーが求められている。ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)は、キャンプ中から「キーパーもフィールドプレーヤーと一緒だ」とGK陣を指導してきた。体現する1番手は、不動のレギュラーであるクとなる。

湘南との開幕戦でも、兆しはあった。チームの攻撃時、クは何度もペナルティーエリアを飛び出し、チームメイトとの間合いを詰めた。だが、チームの攻め手を増やしたかといえば、まだまだ道半ば。「つなげるところで遠くに蹴っちゃったり、自分の無駄なパスやキックでボールを取られてカウンターを受けたりした部分をなくしたい」と反省する。

もちろん、GKの本職である守りの意識もしっかりある。FW興梠、杉本らを擁する強力攻撃陣との対峙に「日本代表に入る高いクオリティーのある選手。集中しないと一瞬でやられる可能性がある」と気を引き締める。

世界でのプレーを夢見る24歳は「もっと上のレベルに行きたい。だから新しいスタイルやプレーもトライしようと思っている」という。札幌でJ1のレギュラーにはなったが、その先に韓国代表入り、欧州挑戦がある。「いい試合をして、いいセーブをしてチームを勝たせたい」。今季初の勝ち点3は、クの攻守にかかっている。【保坂果那】

◆韓国代表GK争い クは昨年のW杯ロシア大会で予備登録選手に入ったが、代表入りは逃している。W杯代表はKリーグ大邸のチョ・ヒョヌとJリーガーのキム・スンギュ(神戸)キム・ジンヒョン(C大阪)で、正GKはチョ・ヒョヌだった。1月のアジア杯もW杯と同じメンバー。現時点では、3人が横一線で正GKの座を争っている。