J1リーグ16位のベガルタ仙台は15日、アウェー初勝利を目指し12位の松本山雅FCと戦う。勝ち点は3差だが、得失点差で2上回っているため、勝利すれば順位が入れ替わる。今季から加入し左サイドハーフに定着したMF石原崇兆(26)にとっては、4年間在籍した古巣との初対決となる。特別な感情を胸に、日本アルプスを望むあのピッチに立つ。

   ◇   ◇   ◇

緑色に染まる敵地で待っているのは拍手か? ブーイングか? 昨年のJ2優勝を置き土産に、石原崇は仙台へと旅立った。「移籍が決まったときから一番楽しみにしていたカード。ワクワクする」と対戦を心待ちにしている。J2岡山から移籍した15年、初のJ1を経験した松本での初年度は「苦労した」と実感を込める。わずか16試合の出場にとどまり、最後は降格を味わった。J2となる2年目以降は、主力としてチームを引っ張った。トータル4年間在籍し「松本だったら試合に出られるだろう、みたいな気持ちになるかもしれないし、甘えも出てくる」とステップアップを決断。自身のさらなる成長のために移籍した。今のところ、それは「吉」と出ており「いろいろなポジションでプレーし、プラスになっている。選手として監督のカラーに合わせるのが大事」と、仙台では複数のフォーメーションに対応し、手応えを感じている。

かつてのホーム「アルウィン」については「ちょっとしたチャンスでも沸くし、期待を感じる。心強かった」と大声援を振り返る。「応援してくれた人たちに仙台でやれているところを見せたい」と意気込んだ。松本の反町監督の厳しい練習には「毎日つらかったが走れる体力がついた。一番、成長できた場所」と感謝を口にする。

パッと花が咲く選手ではなく「地道にやってきた」と自己分析する。「自分のプレースタイルを知っている選手が多いのはやりづらい。松本は11人全員が走れるし、カウンターが相手の強み。良さをつぶし、気持ちで負けたくない」。アウェー7連敗は絶対に止める。「こぼれ球に反応して泥くさくても、ごっつぁんでもいい」。松本に愛された男は仙台初、J1初となるゴールで古巣に強烈な恩返しをする。【山田愛斗】