ジュビロ磐田がリーグ通算50度目の「静岡ダービー」を制した。公式戦5連敗中だった宿敵清水エスパルスに2-1で雪辱。J1残留に望みをつないだ。強行出場したFWルキアン(28)が決勝アシストを決めるなど、貴重な勝利をもたらした。

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必死につないだ。1-1で迎えた後半41分。磐田FWルキアンが、ゴール左でMFアダイウトン(28)からの縦パスを受けた。激しいマークに体勢を崩しながらも踏ん張り、ボールを収める。右足でリターンを送ると、抜け出したアダイウトンがネットを揺らした。

ルキアンは「決めてくれという思いだけだった。良かった」。値千金の決勝点をお膳立てした背番号「39」はその場に倒れ、歓喜の輪に加われない。それでも、耳には磐田サポーターの大歓声が心地よく響いた。

一時は出場も危ぶまれた。先週、右足内転筋を痛めて離脱した。医師からは「全治3週間」が告げられた。だが、負ければ来季J2降格が決まる可能性もあった一戦。ルキアンは「自分の回復力を信じた」と強行出場を決意。自宅でもケアを続け、間に合わせた。

前半5分には、DFラインの後方に流れたボールに鋭く反応。清水DFファン・ソッコの1発退場を誘い、チームに数的優位をもたらした。決勝点も満身創痍(そうい)の右足でアシスト。文字通り「助っ人」として、貴重な勝ち点3をもたらした。

クラブワーストの5連敗中だった宿敵にリベンジを果たし、暫定ながら16位湘南との勝ち点差を「6」に縮めた。残り4試合。次節は2位東京戦と厳しい戦いが続くが、フェルナンド・フベロ監督(45)は「精神的にも非常に大きな勝利になった」と、手応えを示した。わずかに残るJ1残留の可能性を必死につなぐ。【前田和哉】