J2V・ファーレン長崎は3日、高田明社長(71)が20年1月1日をもって退任すると正式発表した。

通販大手ジャパネットたかたの創業者から17年4月、経営危機が表面化したクラブを子会社化。代表取締役社長に就任し「3億円以上あった」という累積赤字を解消。昨季は初のJ1を経験するなど、競技、経営とも再建に道筋をつけた。

この日、J2第39節のアウェー横浜FC戦(ニッパツ)後、スタジアム内で取材に応じ、退任理由を語った。15日に長崎・諫早市内で正式な会見を開くため、囲み取材の形で6分超。短くも端的に思いを語った。

 

-今までホームもアウェーも、さまざまな試合を見てきた中でも(退任発表日となった)今日は、ひときわ違った思いで試合をご覧になったのでは

高田社長「あと4試合で今年のリーグ戦が終わる。そういう思いで試合に入ったので、特別な1日だったかと言われれば、そうではなかった。1試合1試合は変わらないので。たくさんのファンの方に来ていただけた中、勝てなかったのは残念ですが、見ていて、選手たちは走ってましたもんね! 一生懸命やった結果ですから。(敗れたことでJ1昇格の可能性が消滅し)来年のゼイワン(J1)は夢になりましたけど、残り3試合、最善を尽くす。この3試合で何が最も大事かと言えば、切り替えること。天皇杯に、来季につながる。落ち込んでいたら天皇杯につながらないし、来季も頑張れない。なのでスタンスは変わらなかった。勝てなくて申し訳ないということは伝えたいですが」

-17年4月に就任されてから約2年半。このタイミングで社長の座から退くことを決断した理由は

高田社長「正式には15日に時間を取らせていただいて、詳しくはそこで話しますが、退任に至った理由としては(社長に)なった時に3年くらいのスパンを自分の中で描いていた。年齢的にも。最も大きな役割としては、ご存じの通り、3億円以上の累積赤字があった会社、立ち行かなかった会社の(経営再建)。何とかゼイワン(J1)ゼイツー(J2)の中でも回していけるような経営体質をつくることが、僕の課題でした。今年の前半くらいからメドがつき始めたのかな。あとは後進に任せると。結局ですね、企業を創業するとか、ないところから作り出すとか、再建するとか、向いた人がなるべきなんですよ。企業に向いた人が再建したから成長する、というわけではない。経営というものは違うんですよ。創業期、成長期、安定期と状況によって、トップは変わっていかないといけない。年齢的にも。そこも含めて社長退任の適正な時期であると考えた。自分の経験からも。それだけです」

-今日(71歳の)お誕生日でしたが、今までの人生の中で、この3年間はどのようなものでしたか

高田社長「僕は『今を生きる』ってことばかり言ってきた人間ですから。この3年間は自分なりに一生懸命やって。サラリーマン時代からカメラ店、通販の世界…ジャパネットと。そして、まさかサッカーの世界に来るとは思いませんでしたけど、めちゃくちゃ勉強になりました。スポーツはもともと好きですけど、ここれだけ人の気持ちを変える力、幸せに感じさせる力があるんだ、と。スポーツは、この前は(世界)柔道がありましたし、ラグビーW杯は終わりましたけど、これからまた野球(プレミア12)あるでしょ。サッカーに限らず、スポーツ界は夢があるなと。平和。こういうものが世の中を変えていくんだなと。すごく、いい経験をしました。違った方々にお会いできたことが僕の中で本当に良かった」

高田社長「最後になりますけど記者の皆さん、ありがとうございます。横浜まで足を運んでいただいて。なかなかお礼をいう機会はなかったですけど、感謝しています。これ(昇格消滅)にめげず、あと3試合、頑張って。天皇杯という大きな、長崎から見れば奇跡を起こすような大会がありますので、変わらず、ご指導いただけるとうれしいです。また15日に皆さんと、ゆっくりお話を。『NAGASAKI,theONE』(今季スローガン)ということで。はい。ありがとうございました」