J1リーグ戦は4日に再開され、ヴィッセル神戸は本拠地ノエスタでサンフレッチェ広島と戦う。試合を翌々日に控えた2日、同スタジアムでクラブの関連式典があり、森井誠之副社長が取材に応じた。

「イニエスタの調子はいい。幸いにも、けが人もいない。こういう状況下で我々、選手は4冠を取る。その思いはぶれずにやります」

既に2月に富士ゼロックス・スーパー杯を勝って1冠を達成。残るはJ1、ルヴァン杯、天皇杯、ACL。イニエスタが開幕前に「全タイトル(5冠)を取る」と宣言していた通り、中断期間が4カ月あっても目標は変わっていない。

4日の試合は無観客で行われる。広報担当者によると、会場の報道受け付けも通常と場所が違い、動線もまったく異なり、記者はピッチに近づけないという。

この日の取材では、記者がピッチ脇まで近寄れ、青々した芝生の感触を確かめることができた。森井副社長は「芝生に関しては、メンテナンスしかしていなかったので、ベストの状態。芝生もきっとサッカーが再開され、喜んでくれているはず」と説明した。

3月末からJリーグでは初めてとなる新型コロナウイルスの感染者を、神戸のクラブから計3人出した。DF酒井高徳(29)が最初の陽性者になった際、クラブ内も混乱した。当時はまだ、Jリーグ全体でも対応の手順が完全に確立されていなかったという。

「だからこそ、神戸で感染者を出した経験をJリーグにも伝え、次につなげられたとは思っています。トライ・アンド・エラーで、ここまで来られた。神戸の選手は自宅待機などで焦りはあったが、その時間をプロフェッショナルとして乗り越えられた。神戸発で全国に、チームの圧倒的な強さを発信したい」と森井副社長。

チームはこの日、神戸市内の練習場で完全非公開の調整を行った。残るは3日の最終調整のみ。さまざまな困難を乗り越えてきた天皇杯王者神戸が、新たな歴史を踏み出す。【横田和幸】