元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(36)率いるヴィッセル神戸は、サンフレッチェ広島に0-3の惨敗再スタートとなった。

J1再開戦は広島とのホーム戦も、無観客でサポーターの後押しを得られず完敗した。イニエスタは孤軍奮闘のフル出場も、得点につながる決定的なチャンスを作れなかった。対照的に広島は開幕2連勝と好スタートを切った。

     ◇     ◇     ◇

世界を極めたイニエスタ史上でも経験のない無観客試合で沈黙した。開幕戦以来、約4カ月ぶりの公式戦。本来の相手守備陣の裏のズバッと通すイニエスタのパスもなければ、それに反応するFW陣の動きもなかった。後押しするサポーターがいないとはいえ、ホームで0-3の完敗。厳しい再スタートとなった。

イニエスタは「0-3という結果ほど悪くはなかった。いい流れで試合はできていたが、3点目でチームとしてのダメージが大きかった。求めていたスタートではなかった」と振り返った。体調不良でDFフェルマーレンを欠いた。以外はベストメンバーで臨んだ。それでも見せ場すらない。DF西大伍は「練習だけが仕事じゃない。ファンに見てもらって、何かを与えるのが仕事」と言った。

フィンク監督も「形としては入れた。チャンスをものにできなかった」と前向きなコメントも、険しい表情だった。「勝つべきチームが勝ったという印象」。ブランクをものともしなかった広島に、ひれ伏すしかなかった。

J1リーグ戦だけでなく、カップ戦、そしてACLと具体的日程こそ決まっていないが、過密日程のスタートで惨敗を喫した。イニエスタは「4カ月空いてうまくいくのは簡単なことではない」と話し、「ファンには勇気づけられるし、力になる。早くスタジアムに来られる日常が戻ることを願っている」。世界的スーパースターも、初体験から再出発した。【実藤健一】

○…ホームの神戸はノエスタの観客席にサポーターから募ったフォトパネルを設置(数は非公表)。また、通常の試合中に録音した応援の声を場内に流した。「(無観客でも)勇気づけられた」とイニエスタ。ホームの雰囲気を作り上げたが、結果は広島に完敗した。