Jリーグ鹿島アントラーズの日本代表DF内田篤人(32)が、24日のガンバ大阪戦で14年半の現役を終えた。試合後、ホームのカシマスタジアムの引退スピーチでは、引退決断に至る苦悩、現役生活を支えてくれた人たちへの感謝、そして愛するサッカーへの思いを熱く語り、サポーターへ別れを告げた。

一時代を築いたアスリートの引退スピーチは、その選手の最後の決意表明でもある。引退決断の理由とともに、人生、哲学、人柄がすべて凝縮されおり、私たちへのメッセージが込められている。

あの「我が巨人軍は永久に不滅です」で有名な長嶋茂雄と、原辰徳の引退スピーチの全文を、あらためて再現してみた。

 

★長嶋茂雄(プロ野球・巨人内野手)

「昭和33年、栄光の巨人軍に入団以来、今日まで17年間、巨人並びに長嶋茂雄のために絶大なるご支援をいただきまして、誠にありがとうございました。皆さんから絶大なるご支援、熱烈なる応援をいただきまして、今日まで私なりに一生懸命野球生活を続けてまいりましたが、いまここに体力の限界を知るにいたり、引退を決意いたしました。

ふり返りみますれば、17年間の現役生活、いろいろなことがございました。試合を一つ一つ思い起こす時に、好調時には、皆さまの激しい大きな拍手をいただき、この背番号3の闘志をさらにかりたて、また不調の時には皆さまの温かいご声援が今日まで私を支えてきました。不運にも、我が巨人軍はV10を目指して、監督以下選手一丸となり、死力を尽くして最後の最後までベストを尽くして戦いました。しかし、力ここに及ばず、10連覇の夢は敗れ去りました。

私は今日ここに引退いたしますが、我が巨人軍は永久に不滅です。

今後、微力ではありますが、巨人軍の新しい歴史の発展のために、栄光ある巨人軍の明日の勝利のために、今日まで皆さま方からいただいたご支援、ご声援を糧としまして、さらに前進していく覚悟でございます。

長い間、皆さん、本当にありがとうございました」 <38歳。1974年(昭49)10月14日の引退セレモニーあいさつ全文>

※57年に巨人入団。58年に本塁打王、打点王、新人王を獲得。17年で2471安打、444本塁打、1522打点、打率3割5厘。首位打者6回、打点王5回、本塁打王2回、巨人監督として日本一に。監督通算1000勝達成。

 

★原辰徳(プロ野球・巨人内野手)

「アキレスけんが切れるまでグラウンドで頑張ろうと思ってました。しかし、限界です…。巨人軍は巨人軍独特の何人(なんぴと)にも侵すことのできない聖域があります。私はこの15年間、それを肌で感じて守ってまいりました。1980年、ドラフト1位で巨人が指名してくれて、私は巨人の一員になりました。小さいころから野球選手になりたい、巨人に入りたい、とその夢を持って頑張りました。そして今日、その夢は終わります。しかし、私の夢には続きがあります。その言葉を約束して、今日引退します」

<37歳。1995年(平7)10月8日の引退セレモニーあいさつ>

※80年ドラフト1位で巨人入団。81年新人王。優勝した83年に打点王とMVP。02年巨人監督に就任して優勝。再就任後の09年に日本一。同年ワールド・ベースボール・クラシック日本代表監督として世界一に。19年より3度目の巨人監督を務めている。