来年9月開幕予定のサッカー女子プロリーグ「WEリーグ」の岡島喜久子チェア(代表理事)が4日、日本経済新聞などが主催するオンライン講演会「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト『ジェンダーギャップ会議』~多様性のある組織が勝つ! 女性リーダーを増やす企業の戦略~」に出演した。

岡島チェアは選手として日本代表でもプレー経験がある一方、83年の大卒後は会社員としてケミカル銀行(現JPモルガン・チェース銀行)に就職し、91年から今年のチェア就任までは米国を拠点としてメリルリンチなどの外資系金融機関などでも勤務経験を持つエリート。今後も自宅のある米ボルティモアを拠点とし、チェアとして来年から始まるWEリーグの準備を進めている。

この日は米国での録画映像で登壇し、自身の経験を踏まえた日米の労働環境の違いや、女子サッカーの魅力などを語った。岡島チェアは金融機関勤務時代に見た米国人の印象として「自分のアピールがうまく、文句があると上司に訴えていた」と振り返り、マイノリティーや女性の組織内での昇進を妨げる見えない壁を意味する「ガラスの天井」の米国内での現状などについて紹介。米サッカー女子代表が男子との給料格差是正を求めて裁判を起こした動きも取り上げ「これはお金だけでなく、次世代の女子選手への責任と女子選手のサポートの気持ちが強いと聞いています。この活動はさまざまな女性にイコールペイの声を出すきっかけになったと評価されています」と話した。

一方で、サッカーを通じて養われたことについても言及した。岡島チェアは「チームワークと他の人を生かすことを学びました」と語り「私が心がけていたのは、パスを通して他のプレーヤーが得点できるようにすること、そして体を張って相手のプレーを防ぐことでした」と当時を振り返った。試合に敗れた経験や、自身への批判などの失敗を糧にすることは社会人生活にも役立たせることができると熱弁し、「仕事での会社の成功という共通認識にむかって努力すること、楽しくない役割でもこなし、自分の仕事への責任感へつなげることができる」と説いた。

WEリーグは、参入クラブに1人以上の女性役員を登用し、3年以内に職員の半数以上を女性とすることを義務づけるなど、女性全体の社会での活躍を支えていくことを目指している。岡島チェアは最後に「女の子を子どもに持つ親にお願いしたい」と切り出し「ぜひ、お嬢さんにチームスポーツを経験させてほしい。将来、社会人になった時に必ず役に立ちます。チームスポーツをさせるのなら、ぜひ女子サッカーを。スポーツには感動や元気を与える力があります。WEリーガーたちの姿をみて、ぜひみなさまに元気を持っていただきたい」とアピールしていた。