前大会の全国選手権4強、帝京長岡は6-2で中越に貫禄勝ちした。前半3分と11分にFW葛岡孝大(3年)が連続ゴール。その後の連続失点で2-2に追いつかれたが、並ばれてからは一気に突き放した。前半39分に葛岡が蹴った右CKの混戦からDF三宅凌太郎(2年)がファーサイドでボールを押し込むと、後半は3得点で圧倒した。

これが強者のメンタリティー。帝京長岡は2-2で並ばれても決して慌てない。前半の飲水タイム時にMF川上航立主将(3年)が「うしろが緊張してますね」と古沢徹監督(34)に報告していたDF陣が、ちょっぴりバタつき追いつかれた。しかし、その後は落ち着きを取り戻す。前半39分には右CKの混戦からDF三宅がスライディングで勝ち越しゴール。川上主将が掲げる「(全国選手権4強の)前大会のリベンジをして(高校)日本一を取りたい」という目標の高さも勝利への推進力だった。

昨年は3人のJ2クラブ加入選手を擁するタレント集団だった。現チームには突出した選手はいないが、総合力では昨年に負けていない。前半2得点の葛岡は後半10分にお役御免。後半に2得点した先発FW石原波輝(3年)も途中でピッチを退いた。「前にはパンチの効いた選手がいる」という古沢監督の言葉通りに、途中出場のFW梶山はるま(3年)がチーム6点目を決める。先発メンバーには1年生4人を含む1、2年の下級生が7人。古沢監督は「育成と勝負を並行してやりたい」と言う。ゲームプランも強豪校そのものだった。【涌井幹雄】