米女子プロサッカーリーグのワシントン・スピリットへ完全移籍が決まったセレッソ大阪堺レディースのFW宝田沙織(20)が3日、オンラインで会見を行った。優勝した18年U-20女子W杯で相手スカウトの目に留まったといい、27日に21歳の誕生日を迎えるホープは「2年前から海外に挑戦したいという思いがあった」と移籍理由を語った。

「なでしこジャパンにも選ばれるようになって、自分の課題が分かるようになった。海外で挑戦し、課題をつぶしていければ。自分のプレーに興味を持ってくれたのはうれしい」

A代表にあたるなでしこジャパンとして19年女子W杯にも出場し、来年の東京五輪の代表候補でもある。「代表に選ばれるようになって、このタイミングで移籍してもいいのかなと悩んだ。でも、成功するかしないかは、行ってみないと分からない」と、女子では最強国であり続ける米国での挑戦を選んだ。

富山県生まれの宝田は、中学時代の12年にC大阪堺に入団。今季なでしこリーグ1部で4位に躍進する原動力になるなど、170センチの長身でFWからDFまでこなす器用さも武器だ。C大阪堺ではアマチュアだったため、サッカースクールでアルバイトしながらの生活だった。今回は人生初のプロ契約を結ぶため、より自覚が生まれている。

「なでしこジャパンにかかわる機会が増えて、より東京五輪に意識が向くようになった。自分に今、何が必要かを考えている。東京を目指して海外で成長したい」と宝田。ワシントン・スピリットには、同じなでしこジャパンのFW横山久美(27)も在籍する。「勉強中」という英語は通訳は付けずに、現地の生活に飛び込む。

C大阪堺からは初の海外クラブへ輩出となる。宝田は2年契約のため、将来的にC大阪堺へ復帰する可能性は十分あるが、最後の大会が5日からの皇后杯(2回戦)になる。29日の決勝で日本一になり、来年1月に渡米できれば最高のドラマになる。【横田和幸】