元日本代表の鹿島アントラーズGK曽ケ端準(41)が24日、クラブを通じ、現役引退を発表した。

曽ケ端は鹿島ユースから98年に鹿島入り。鹿島一筋で23年間プレーした。

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鹿島アントラーズGK曽ケ端準(41)を、私はひそかに「曽ケ神(そがしん)」と心の中で呼んでいた。敬意を表して。16年12月4日、クラブW杯準決勝でナシオナル・メデジン(コロンビア)を完封し、3-0勝利で決勝進出。決定的な場面を何度も防いだ最高殊勲者。この試合までの大会セーブ率は脅威の92・9%。日刊スポーツも翌5日付の紙面で「神セーブ連発」「ベテラン守護神」などの見出しや、記事でたたえた。つもりだった。

5日の一夜明け練習だったと記憶している。「本当に神がかっていましたよね」と雑談。帰ってきた言葉に驚かされた。

曽ケ端 神セーブとか守護神とかっていうのは、あまり好きじゃないんですよね。神っていうのは自分の力以上の神がかったものってことですよね。相手のシュートを止めることが出来るのは、他の選手が協力してコースを限定してくれているからこその部分もあるし、たとえミスがあっても、それも自分。そのために毎日、しっかり準備をしてきているので、良いシュートストップが出来た時も、神がかっているというのは違うと思う。

決して、見出しなどを否定しているのではなく、曽ケ端自身の信念だった。それだけ試合に出場する責任感も強い。Jリーグ244試合連続フル出場や、天皇杯66試合出場の歴代1位記録も、神業ではなく、日々の練習から全力で積み重ねてきた証しだ。

ただ、大きな存在感とは対照的に、日常の声は極めて小さい。コロナ禍以前、伝統的に鹿島は駐車場での取材が通例だった。車のエンジンをかけて運転席に座ってからの会話は、“ポールポジション”でなければ聞こえなかった。今後は、第2の曽ケ端育成に期待している。ピッチ上と同じような声のボリュームで、神のお告げならぬ“ソガのお告げ”を次世代に伝えてほしい。【元鹿島担当 鎌田直秀】