第99回全国高校サッカー選手権は、31日に首都圏で開幕する。今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、高校スポーツも停滞を余儀なくされ、夏の甲子園や、インターハイが中止になった。感染防止を徹底して開催される今大会。日刊スポーツでは「見えない敵を乗り越えて」と題し、注目校を紹介する。

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星稜(石川)が「親友対決」を制し、全国制覇を目指す。2大会ぶり29度目の出場。31日の初戦は作陽(岡山)と顔を合わせる。

抽選会で、FW千葉大護主将(3年)が引き当てた。中学時代、強豪のガンバ大阪門真ジュニアユースで一緒に汗を流したMF奥龍太郎が作陽で主将を務めている。選手権で活躍する夢を抱き、ともに大阪を離れた。何かの偶然か。大舞台の初戦で、対戦が巡ってきた。

抽選会から少し時間が過ぎてから、LINEで連絡をとった。

「まさか当たるとはな 笑」

休日も一緒に遊びに行く仲だった。久しぶりの連絡だったが「話しすぎると意識してしまう」と、やりとりを終えた。

星稜が目指すのは14年度大会以来の全国制覇。その第1歩として、作陽を初戦で破る必要がある。千葉主将は「倒さなければいけない相手なんで」と闘志を燃やす。

石川県大会では5試合で41得点1失点。前回大会決勝で敗れた鵬学園に、決勝で5-0で勝利。リベンジを果たし、2大会ぶりに大舞台の切符をつかんだ。

新型コロナウイルスの影響で練習できない期間があったが、河合伸幸監督は「攻撃の意図しているところは、思ったよりもうまくいった」と、チームの完成度に手応えを感じている。能力がずばぬけた選手はいないとしながらも「献身的な選手が多く、チーム力がある」と結束力で勝負する。

14年度に初優勝を果たし、準優勝1度、ベスト4も3度経験している。石川大会で15得点のFW佐々木真之介を含め、13人が得点をあげた層の厚さを武器に、2度目の全国制覇へと突き進む。【佐藤あすみ】

◆星稜 戦前からある簿記学校が前身で、1962年(昭37)に「実践第二高等学校」として創立された私立校。サッカー部は67年創部。14年に選手権初優勝。野球部は春13度、夏20度甲子園に出場。陸上部、トランポリン部も強豪として知られる。主なOBは元日本代表のMF本田圭佑、鳥栖のFW豊田陽平、元プロ野球選手の松井秀喜氏、ヤクルトの奥川恭伸ら。部員数は126人。